浄土ヶ浜

浄土ヶ浜：極楽浄土と称えられる景勝地

岩手県宮古市に位置する浄土ヶ浜は、三陸復興国立公園内にあり、三陸海岸を代表する景勝地の一つとして知られています。国の名勝にも指定されており、その美しい景観は多くの人々を魅了しています。

地質と景観

浄土ヶ浜の岩石は、約5200万年前の古第三紀に形成された流紋岩です。かつては石英粗面岩とも呼ばれていましたが、現在は流紋岩に統一されています。この岩石は、二酸化ケイ素を70%以上含み、非常に硬く、小さな水晶が密集しているのが特徴です。海底に積もった火山灰が隆起して海面に現れたと考えられており、モース硬度7の場所も存在します。

海岸には、岩手県の県木であるナンブアカマツをはじめとする常緑樹が群生しています。これらの木々は、かつて国有林だったものが、その後県と市の共同所有となりました。また、浄土ヶ浜の入り江を形成する岩塊の外海側は、太平洋の荒波によって浸食され、男性的な景観を呈しています。この外海側の景観は、「剣の山」「賽の河原」「血の池」など、恐山を連想させる名称で呼ばれています。

地名の由来

浄土ヶ浜という名前は、江戸時代の天和年間（1681年 - 1684年）に、常安寺の霊鏡竜湖がこの地を訪れた際、「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆したことに由来するとされています。この説は、観光船の案内放送などで広く知られています。盛岡藩主の南部利敬も、1797年にこの地を訪れており、当時から風光明媚な場所として知られていました。また、江戸時代中期の絵図にも「浄土ヶ浜」という地名が記されています。

海水浴場と文化

浄土ヶ浜の入り江は、波が穏やかで、海水浴場として親しまれています。環境省の「快水浴場百選」をはじめ、「日本の水浴場88選」、「かおり風景100選」、「日本の渚百選」、「日本の白砂青松100選」にも選定されています。宮沢賢治も1917年にこの地を訪れ、歌を詠んでいます。

夏には海水浴客で賑わい、春秋には修学旅行やツアー客が多く訪れます。1974年には昭和天皇が行幸した場所の一つでもあります。

東日本大震災からの復興

2010年にはレストハウスが開業しましたが、2011年の東日本大震災で大きな被害を受け、海水浴場とレストハウスが一時閉鎖されました。その後、復旧作業が行われ、レストハウスは2012年7月に営業を再開しています。

浄土ヶ浜は、美しい自然と歴史、文化が織りなす魅力的な観光地です。訪れる人々は、その景観に感動し、癒されることでしょう。

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