三陸

三陸とは

三陸（さんりく）は、青森県、岩手県、宮城県にまたがる三陸海岸と、その内陸部である北上山地を指す地域名です。元々は令制国である陸奥国、陸中国、陸前国の3国の総称でしたが、現在では、この三陸海岸地域を指すことが多くなっています。

三陸の歴史

令制国と三陸

江戸時代、現在の岩手県釜石市の石塚峠を境に、北側が南部氏の盛岡[[藩]]と八戸[[藩]]、南側が仙台[[藩]]の領地でした。当時の三陸沿岸全体を指す名称は不明ですが、南部藩領内は「三閉伊通」や「海辺道」と呼ばれていました。

1869年、戊辰戦争での処分により、三陸沿岸は複数の藩の領地となりました。太政官布告により、旧3藩の知行域に陸奥、陸中、陸前の3国が設置され、これらが「三陸」と総称されるようになりました。これらの3国は、現在の地理ではおおむね以下の範囲です。

青森県全域
岩手県全域
宮城県のうち、亘理郡、伊具郡、刈田郡、角田市、白石市を除いた地域
秋田県鹿角郡小坂町および鹿角市

三陸海岸

三陸海岸は、青森県八戸市の鮫角岬から宮城県の牡鹿半島までのリアス式海岸と付属諸島を指します。この地域は、地理的な類似性から三陸地方、または単に三陸と呼ばれることが多いです。

1896年の明治三陸地震による津波で甚大な被害を受けましたが、当時は三陸沿岸を指す言葉がなかったため、報道で様々な呼称が用いられました。その後、「三陸」という言葉が定着し、三陸海岸と呼ばれるようになりました。

気仙

蝦夷征討のあった800年頃には、岩手と宮城にまたがる三陸沿岸南部は「気仙」と呼ばれていました。「ケセン」はアイヌ語で「入り江」や「削られた場所」を意味し、複雑な海岸線を持つリアス式の地形を表していたと考えられています。

自治体名

岩手県の旧三陸町（現大船渡市の一部）と宮城県の南三陸町が、自治体名にこの広域地名を用いています。また、旧国名を用いながら旧国領域より狭い地域を指す例として、房総や両毛などがあります。

三陸沖

海域名としての三陸沖

太平洋における海域、または漁場の名称として「三陸沖」が用いられます。親潮と黒潮がぶつかる世界三大漁場の1つで、縄文時代前期には高度な貝塚文化が栄え、骨角製漁労用具は現代の漁具の原型とも言われています。

三陸沖の範囲

三陸沖は、文脈によってその範囲が異なります。狭い範囲から順に挙げると、以下のようになります。

1. 三陸海岸の太平洋側の海域
2. 青森県八戸市・鮫角岬から宮城県・金華山までの海域
3. 令制国の三陸の太平洋側の海域
4. 陸奥国北端から陸前国と磐城国の国境までの海域
5. 青森県八戸以南・岩手県・宮城県松島以北の太平洋側の海域
6. 東北地方の太平洋側の海域
7. 青森県下北半島・尻屋崎から福島県と茨城県の県境までの海域

国の機関では、令制国の範囲を「三陸沖」とする例もありますが、一般的には勿来以北の沖合いを指すことが多いです。海上の天気予報では、三陸海岸の沖合いを指し、地震の名称では、三陸海岸の沖合いを「三陸沖（三陸沖[[地震]]）」としています。一方、福島県浜通りから茨城県にかけての沖合いは「常磐沖」と呼ばれることがあります。

このように、「三陸」という言葉は、地域、海岸、海域と、様々な意味合いで使われていることがわかります。

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