浅井道多

浅井道多（あさい みちあま）は、戦国時代から江戸時代前期にかけて活躍した武将であり、徳川氏に仕えた家臣です。当時の史料では、その通称のみが確認されています。

浅井道多は浅井道忠の子として生まれました。徳川氏の奉行人として、領国内の内政に深く関わりました。父である道忠と共に、三河国、遠江国、甲斐国、そして徳川氏の関東転封後は下総国匝瑳郡の天領地の代官をそれぞれ務め、その活動は多くの書状によって確認できます。小栗吉忠や父と共に三遠奉行と称されたと伝えられていますが、これはあくまで通称であり、当時はそのような役職が存在したわけではありません。

天正3年5月21日（1575年6月29日）の長篠の戦いでは、父と共に設楽原における徳川軍の本隊に従軍しました。この戦いでの彼の具体的な役割や功績については詳細な記録は残っていませんが、徳川軍の一員として戦場に身を投じたことは確かです。

その後、道多は徳川忠長に付けられ、駿河国田中城の城番となりました。しかし、寛永9年（1632年）に徳川忠長が改易されると、道多もその連座によって細川興昌の下に預けられることとなりました。これは、彼にとって大きな転換期であり、不遇の時代を迎えることとなります。

2年後、道多は赦免されましたが、その同じ年に沼津にて死去しました。赦免後の彼の活動や晩年については、詳しい記録は残っていません。しかし、戦国時代から江戸時代初期にかけて、徳川氏の家臣として内政に携わり、戦にも参加した彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた武士の一つの典型を示すものと言えるでしょう。

浅井道多の事績は、『寛政重修諸家譜』に記録されています。この文献は、江戸幕府が編纂した武士の系譜であり、彼の出自や経歴を知る上で重要な資料となっています。

浅井道多は、激動の時代を生き、徳川家の発展に貢献した人物の一人として、その名を歴史に刻んでいます。

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