浅野四郎

浅野四郎について

浅野 四郎（あさの しろう、1877年10月 - 1955年）は、日本の映画史における重要な人物であり、活動写真（映画）の撮影を行った日本人初の撮影技師です。彼の足跡は、日本の映画文化の発展に大きな影響を与えました。

来歴

彼は1897年に小西写真店において、イギリスのバクスター・アンド・レイ社から輸入された撮影機を用いて撮影に取り組みました。当初、この機械は販売を目的としていたため、使い方を理解することが求められました。浅野は20歳という若さで、機械の試験撮影を担当することになり、試行錯誤の末に撮影と現像に成功しました。これにより、1897年12月31日に完成した作品『日本橋の鉄道馬車』は、日本人によって撮影された最初の映画として知られています。

その後、浅野は風景を題材にした短編作品をも撮影しました。代表的な作品には、浅草観音境内で鳩に豆を撒く老婆を捉えた『浅草観音』や、『上野の汽車』『品川の海岸』などがあり、これらは日本の風景を描いた映像として評価されています。1898年には劇的な要素を取り入れた作品『化け地蔵』や『死人の蘇生』も手掛けており、映画の多様性を探求しています。

また、彼は広目屋の店員だった駒田好洋の依頼を受け、柴田常吉や白井勘造などと共に芸者の踊りを撮影したことでも知られています。1899年6月20日には、これらの映像が「日本率先活動大写真」として歌舞伎座で公開され、一般に初めての映画興行とされています。この上映では、『銀座街』『日本橋街』『浅草仲見世』をはじめとする風景作品や、芸妓による踊りが披露されました。

その後、同年7月14日からは明治座でも映画の上映が行われ、多くの人々が映画の世界に触れる機会を得ました。このプログラムには、さまざまな舞踊作品が含まれ、複数の芸者たちによる演技が観客を魅了しました。

晩年

同年、浅野は小西写真店を退社し、土浦の農家である大塚家の養子となりました。彼は石炭商として新たな道を歩むことになり、その後の人生は映画とは異なるフィールドでの経験となりました。映画界での活動は短い期間でありながらも、彼の功績は今なお日本映画史に強く残っています。浅野四郎の足跡を振り返ることは、日本映画そのものの成り立ちや発展を観察する上で、非常に意義深い作業です。彼の挑戦や努力が、今日の映画文化へとつながっています。

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