駒田好洋

駒田好洋の生涯と業績

駒田好洋（こまだ こうよう、本名万次郎）は、1877年7月1日に大阪で生まれた日本の活弁家および映画プロデューサーです。彼は「日本率先活動大写真会」と名乗り、映画興行の発展に大きく貢献しました。特に「日本初の商業公開用の映画」を製作し、また「日本初の劇映画」の制作も手掛けたことで知られています。

幼少期と初期の経歴

彼の実家は呉服商を営んでいましたが、駒田は家業を離れ、アメリカに密航します。ところが、わずか2か月で困窮し、帰国。東京に上京し、京橋近くの広告代理店「広目屋」で働き始めます。この頃、映画に関心を持ち、特にエジソン社の「ヴァイタスコープ」の公開に関わり始めました。

1897年2月、大阪で公開された「ヴァイタスコープ」に触発された彼は、同年5月には活弁家として名を馳せ、「日本率先活動大写真会」としてアメリカ映画の興行を巡業しました。これが彼の映画人生の始まりとなります。

日本映画の初興行

駒田は1899年、22歳の若さで小西写真機店からムービーカメラを購入し、同年撮影された『芸者の手踊り』は「日本初の商業公開用の映画」として評価されます。この映画は、同年6月20日に歌舞伎座で初上映され、その後も『かっぽれ』といった作品が続けて公開されました。

さらに、同年には清水定吉による「日本初の劇映画」として知られる『清水定吉（稲妻強盗）』を制作しました。この作品では、俳優横山運平が主役を演じ、日本の映画界に新たな扉を開くこととなりました。

駒田の影響と巡業興行

1905年以降、駒田の主催する「日本率先活動大写真会」は徐々に活動を縮小していきましたが、彼は「東京活動写真会」として再出発し、全国を巡業し続けました。この期間中には日露戦争の記録映画によって大ヒットを記録するなど、映画界での確固たる地位を築きました。

また駒田は後に「セカイ・フィルム」社を設立し、「日本率先活動大写真会」時代に蓄積されたプリントを貸し出す活動を行いました。彼が「原作」としてクレジットされている『不滅乃木』は、彼の没後の1937年に公開され、今でも多くの人々に知られています。

駒田の遺産

駒田好洋は、多数の観客を対象にしたスクリーン投射手法を広めた先駆者でもありました。彼の「頗る非常」という口癖は流行語となり、観客の記憶に深く残りました。彼自身を「頗る非常大博士」と名乗り、その独特の説明スタイルで多くの人気を集めました。

終焉と記憶

駒田は1935年8月11日に58歳でこの世を去り、多磨霊園に眠っています。彼の生涯と業績は、今もなお日本の映画史に深く刻まれており、多くの映像関係者に影響を与え続けています。彼の功績は、映画の興行や制作のみならず、映画文化全体に多大な影響を及ぼしたといえるでしょう。駒田好洋は、ただの映画制作者ではなく、日本における映画の確立に寄与した先駆者であったのです。

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