浅野晋康

浅野 晋康（あさの ゆきやす）

1977年12月21日、岐阜県大垣市に生まれる。日本の映画監督、劇作家、そして演出家として多岐にわたる活動を展開しており、所属事務所はノックアウトである。

キャリアの歩み

東京ビジュアルアーツでの学びを終えた後、浅野晋康は自主制作映画を中心にその才能を発揮し始める。この初期の活動が、後のプロフェッショナルなキャリアへと繋がる礎となった。

キャリアにおいて重要な転機となったのは、2006年の出来事である。この年、山形国際ムービーフェスティバルのスカラシップを獲得し、初の劇場用長編映画『A DAY IN THE LIFE』の監督を務めた。これは、自主制作から商業映画への一歩を印す作品となった。

さらに、2009年には文化庁が若手映画作家の育成を目的に実施するプロジェクト、ndjc（New Directions in Japanese Cinema）に選出される栄誉を得る。ここで彼は、35mmフィルムで撮影された短編映画『きみは僕の未来』を手がけた。この作品は、2010年に韓国のアシアナ国際短編映画祭で上映されるなど、国内外での評価を得た。

2019年には、長編監督作品として『くらやみ祭りの小川さん』を発表。この映画は、舞台となる府中市で全編にわたるロケを敢行し、地域の特色を活かした作品として注目を集めた。

主な作品歴

浅野晋康は、映画監督として数多くの作品を世に送り出している。初期の作品としては、2002年の『新しい予感』があり、これは第26回ぴあフィルムフェスティバル（PFF）アワード2004に入選している。また、2004年のオムニバス映画『be found dead』の一編や、2005年の『Catchball With ニコル』では監督と共同脚本を担当し、第1回山形国際ムービーフェスティバルでのフィクション賞をはじめ、複数の賞を受賞した。その後の監督作品には、フリーCD-Rマガジンに収録された『夏をみていた午後』（2007年）、短編.jpルーキーズの企画で生まれた『キッスがしたい』（2008年）、青春Hシリーズの一本である『いかれたベイベー』（2013年）、そして『セブンティーン』（2015年）などがある。また、監督としてだけでなく、2017年には映画『一礼して、キス』で脚本を手がけるなど、脚本家としても活動している。

映画以外にも、舞台の世界でも劇作家、演出家として積極的に活動している。自身のカンパニー「オールツーステップスクール」では、2003年から2005年にかけて『リップ・ヴァン・ウィンクル』『キャンプ前』『メイキング・オブ・チェーンソー大虐殺』『ラブストリームス・ノートブック』といった作品を作・演出しており、『ラブストリームス・ノートブック』はMitaka "Next" Selection.6th参加作品となった。また、「プリセタ」の公演には共同脚本や作として参加（2007年、2008年、2009年）。「夏休みウルトラ計画」では『アメリカに行く』（2008年）を作・演出した。さらに、自身の新たな活動の場として立ち上げた「エマニュエル」では、2012年から2017年にかけて『甘い記憶』『1995年のサマー・アンセム』『恋愛と余韻』などを発表し、作・演出を務めている。本多劇場で行われた企画「エマニュエルの作戦会議」でも作・演出を担当した。

その他の活動

浅野晋康の活動は、自身の監督・脚本・演出作品に留まらない。宮沢章夫が演出する遊園地再生事業団の舞台作品に映像スタッフとして参加したり（2003年、2005年）、武正晴監督作品『ボーイ・ミーツ・プサン』（2006年）では脚本協力を担当した。また、園田新監督の『ネムリバ』シリーズでは原案を手がけ、第3回シネマプロットコンペティション準グランプリ受賞という実績もある。さらに、熊澤尚人監督作品『ジンクス!!!』（2013年）や、T-ARAのミュージックビデオ（2013年）ではメイキング映像の制作に携わるなど、映像制作における様々な側面からキャリアを築いている。

自主制作からキャリアをスタートさせ、劇場長編映画や文化庁の育成プログラムに選出されるなど、着実に監督としての評価を確立する一方で、劇作家・演出家として舞台作品も精力的に手がけている。映画と舞台という異なるメディアを行き来しながら、多様な表現を追求し続ける作家である。

彼のキャリアは、インディペンデントな精神とプロフェッショナルな技術が高次に融合したものであり、今後の更なる活躍が期待されている。特に、地方でのロケや特定のテーマに深く切り込む作品も手がけており、その視点や手法は常に進化し続けている。映画と演劇、それぞれの魅力と可能性を探求し続ける浅野晋康は、日本の映像・演劇界において独自の存在感を示していると言えるだろう。

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