浜松シーサイドゴルフクラブ

浜松シーサイドゴルフクラブ

浜松シーサイドゴルフクラブは、静岡県磐田市鮫島に位置する、歴史と風格を兼ね備えたゴルフ場です。遠州灘に面した砂丘地という恵まれた立地を最大限に活かしたコースは、日本のゴルフ史において特異な魅力を持っています。

誕生の背景と創業者

このゴルフ場の誕生は、三善製紙株式会社の社長であった福田富市氏のゴルフに対する深い情熱から始まります。福田氏は、石川県に創設された片山津ゴルフ倶楽部の建設と改修に携わった経験を持ち、そこで培った知識とノウハウを基に、いつか自身の理想とするゴルフコースを造りたいという夢を抱いていました。彼は世界のゴルフ場を巡り、設計思想を深く研究しました。そして1964年、自身の弟と共に、磐田市鮫島の砂丘が広がる湿地帯を視察に訪れます。この土地は、一見ゴルフ場建設には困難が伴うかに見えましたが、遠州灘の雄大な景観、仿僧川沿いの田園風景、そして太田川と天竜川の河口という豊かな自然環境に恵まれていました。特に、砂丘地であるという特性に、ゴルフ発祥の地とされるスコットランドのリンクスランドとの共通点を見出し、ここにゴルフ場を建設することを決意します。福田氏は「自然がすべて」という独自の設計哲学を掲げ、自らコースの設計を手がけました。このプロジェクトを推進するため、母体となる東海開発観光株式会社が設立されました。

開場とその後の歴史

建設工事は1965年11月13日に起工式が行われ、翌1966年10月22日、壮大な18ホールからなる浜松シーサイドゴルフクラブが正式に開場しました。起工式に立ち会った赤星四郎氏は、この地が英国のような砂丘を持ちながら、英国にはない松があることに言及し、その景観のユニークさを称賛しました。

コースの特徴と魅力

浜松シーサイドゴルフクラブのコースは、苔むした風格ある老松が各ホールを効果的にセパレートし、大小の池が戦略的な要素として配置されています。自然のまま残された鮫島池を除き、多くの池はかつての湿地を掘り起こし、その際に生じた砂を積み上げて造られた人工池です。これらのマウンドは、その高さや大きさが綿密に計算され、まるで自然にそこに存在していたかのような景観を作り出しています。フェアウェイは比較的フラットなレイアウトですが、海岸線に位置するため、遠州灘から吹き付ける海風がプレーに大きな影響を与え、各ホールに戦略的な変化をもたらしています。夏は海からの涼風が快適なプレーを約束し、冬は防風林が厳しい寒風を防ぐため、年間を通じて温暖な環境でプレーを楽しめます。また、砂地であることから水はけが非常に良く、コースコンディションが良好に保たれる点も大きな特徴です。コース設計者である福田氏の「自然がすべて」という哲学は、単に自然を借景とするだけでなく、その地形や植生、さらには気候条件といった自然の要素を積極的に設計に取り込むことで実現されています。

高い評価と競技実績

浜松シーサイドゴルフクラブは、その戦略的なコースレイアウトと美しい景観が日本のゴルフ界で高く評価されています。ゴルフダイジェスト社が選定する「日本のベスト100コース」には毎年のようにランクインしており、特に7番ホールは「日本のベストホール18」に選出された実績を持っています。また、数々の主要な競技大会の舞台ともなっており、日本の女子プロゴルフ界で最も権威ある大会の一つである日本女子オープンゴルフ選手権競技大会を、1972年と1976年の二度にわたり開催しています。

コース情報概要

面積: 約850,000平方メートル（約25.7万坪）
コースタイプ: シーサイドコース
ホール数: 18ホール
パー: 72
グリーン: 2グリーン制（ティフトン、ニューベント）
フェアウェイ: ティフトン419
ラフ: ノシバ
ハザード: バンカー93箇所、池が絡むホール11箇所
プレースタイル: 乗用カート（2人乗り、自走式）、キャディまたはセルフ選択可
練習場: 20打席、250ヤード
* 休場日: 毎週月曜日、12月31日、1月1日

アクセス

鉄道を利用の場合、JR東海道新幹線・浜松駅よりタクシーで約40分（約15km）。車を利用の場合、東名高速道路・磐田ICより約25分（約11.1km）で到着します。

浜松シーサイドゴルフクラブは、創業者の明確なビジョンと、砂丘地というユニークな立地条件を最大限に活かした設計により、戦略性と景観美を兼ね備えたコースとして、日本のゴルフ愛好家から長年にわたり親しまれています。その歴史と挑戦的なレイアウトは、今も多くのゴルファーを魅了し続けています。

もう一度検索