浜松市立城北図書館

浜松市立城北図書館は、静岡県浜松市中央区に所在する、浜松市立図書館群の中で中心的な役割を担う公共図書館です。市内にある24館の中で、蔵書冊数、貸出冊数、そして来館者数のいずれにおいても最も多い規模を誇ります。

もともと城北図書館は、1978年（昭和53年）に文丘町（現：中央区）に開館しました。この建物は1960年（昭和35年）に建設された浜松市交通部の女子寮を改修したものでした。しかし、時代の経過と共に施設の老朽化や手狭さが目立つようになり、新たな場所への移転が計画されます。2002年（平成14年）には、移転先として和地山公園北側に位置する農林水産省天竜森林管理署の跡地、約6,700平方メートルが国から取得されました。移転前の2005年度末時点での蔵書数は約8.1万冊（22館中8位）、同年度の貸出数は約21.4万冊（同10位）、利用者数は約6.4万人（同10位）でした。

そして2006年（平成18年）10月1日、城北図書館は文丘町から現在の和地山2丁目へ移転し、リニューアルオープンしました。新築された建物は、周辺の和地山公園や住宅地の景観に配慮し、建物の1層分が地下に埋め込まれた構造となっています。建設にかかった費用は約17億8000万円でした。

この移転開館は、浜松市の図書館システム全体に大きな影響を与えました。開館前年の2005年（平成17年）には、浜松市周辺の自治体との大規模な合併が行われており、合併当初は自治体ごとに異なっていた9種類の図書館システムが混在していました。城北図書館の移転を機に、市内全21館・分室の市立図書館すべてを統合するネットワーク化が実現しました。この統合に合わせて、浜松市立図書館が所蔵する約200万冊全ての資料にICタグが貼り付けられました。これは当時、国内の公共図書館としては最多のICタグ貼付数であり、海外の大規模図書館と比較しても遜色ない規模とされています。

城北図書館はサービスの拡充にも積極的に取り組みました。2013年（平成25年）には浜松市立図書館として初めて「静岡新聞データベースplus日経テレコン」を導入し、続く2014年（平成26年）8月1日には、これも浜松市立図書館では初めてとなる国立国会図書館デジタルコレクションの利用サービスを開始しました。これは静岡県内では3例目の導入事例でした。

移転後の規模は飛躍的に増加しました。2016年度末のデータでは、蔵書数が約47.4万冊、年間貸出数が約58.5万冊、年間利用者数が約15.9万人となり、いずれの数値も浜松市立図書館24館の中でトップとなりました。

城北図書館の重要な位置づけとして、「第二の中央図書館」という役割が挙げられます。浜松市には中央館として浜松市立中央図書館がありますが、施設の老朽化や狭隘化が進んでいたため、城北図書館がその機能を補完・強化する存在として整備されました。建物の延床面積は約6,530平方メートルに及び、これは中央図書館を上回る市内最大級の規模です。開架スペースには約15万冊、閉架書庫には約40万冊を収容する能力があります。中央図書館の閉架書庫にあった資料の一部や、クリエート浜松に収蔵されていた視聴覚資料が城北図書館に移管されたほか、市内の各地域を巡回する移動図書館の拠点も城北図書館に集約されています。また、開館時から最新設備である自動閉架書庫が導入されており、効率的な資料管理が行われています。

さらに、城北図書館の顕著な特色の一つとして、ビジネス支援サービスへの注力があります。産業関連の専門書約2,000冊をはじめ、ビジネス書が豊富に揃えられており、移転開館当初からインターネット利用可能なパソコンも設置されています。加えて、はままつ産業創造センターから派遣された専門家による企業相談会が図書館内で定期的に開催されており、実際に事業化につながった事例も報告されています。これらのサービスは、地域における産業活動や創業・経営を情報面からサポートする役割を担っています。

利用案内

開館時間：月曜日～金曜日 9時～19時、土曜日・日曜日・休日 9時～18時
休館日：年末年始、館内整理日（毎月第4木曜日）、蔵書点検期間
アクセス：
遠鉄バス「和地山」停留所より徒歩約4分（40気賀三ヶ日線、41高台線、43引佐線、45奥山線、46・46-テ都田線・47葵町医大線、48和合西山線利用）
* 遠鉄バス「和地山北」停留所より徒歩約4分（8せいれいまわり富塚じゅんかん利用）

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