浜田邦裕

浜田邦裕：建築から音楽へ、多様な才能を駆使する異色の経歴

浜田邦裕氏は、建築家、建築評論家、そして現代音楽の指揮者という、複数の顔を持つ稀有な人物です。1960年生まれ。名古屋大学工学部建築学科を卒業後、東京大学大学院工学系研究科に進学。大学時代は鉄筋コンクリート部材解析を専門とし、大学院では火災モデリングを研究しました。

大学院修了後は、竹中工務店設計部に所属。横浜アリーナや品川プリンスホテルといった大規模プロジェクトの構造設計に携わった経験を持ちます。その後、建築の学びを深めるため、ロンドンの建築学校AAスクールへ留学。Peter Cook、Ron Herron、Jan Kaplickyといった巨匠に師事し、建築設計の研鑽を積みました。同時期には、設計競技で高い評価を獲得。第2回MCH House of Cup設計競技で佳作、デザイン博国際設計競技で最優秀賞を受賞するなど、既に頭角を現していました。

AAスクール卒業後は、ベルリンのダニエル・リベスキンド事務所に参加。ユダヤ博物館増築計画という、世界的に注目を集めるプロジェクトに携わった経験は、氏の建築家としてのキャリアにおいて大きな転換点となりました。

帰国後、いくつかの大学で建築設計を教鞭をとる傍ら、建築評論家としての活動も開始。第11回美術手帖芸術評論において「アンビルトの理論」で入選を果たすなど、建築界に独自の視点を提示しました。彼の建築批評は、既存の枠にとらわれず、常に斬新な視点と深い洞察に満ちており、高い評価を得ています。

近年は、現代音楽に活動の中心を移し、指揮者、作曲家として活躍しています。マスターズ・オーケストラin京都【MOiK】のオーナー兼常任指揮者として、オーケストラを率いる他、アンサンブル・モデルネ・KYOTOでも指揮、作曲、そしてオーボエ奏者として参加。チェロも演奏するなど、音楽家としても多岐に渡る才能を発揮しています。

浜田氏の著作も多岐に渡り、建築に関する専門書から、音楽や多言語学習に関する実践的な書籍まで幅広く執筆。建築と音楽という一見異なる分野を繋ぐ彼のユニークな視点と、多様な経験に基づいた著作は、多くの読者から支持されています。主な著作には、『建築と非建築のはざまで』（共訳）、『アンビルトの理論』、『ロンドン・アヴァンギャルド』、『アーキグラム』（共訳）、『現代音楽の練習帖』、『多言語学習の練習帖』、『京都まちあるき練習帖』、『芸術評論の論証カード』などがあります。

建築設計、建築評論、そして現代音楽の指揮・作曲と、浜田邦裕氏の活動は多岐に渡り、それぞれの分野で高い評価を得ています。彼の経歴は、専門分野にとらわれず、常に新しい挑戦を続けることによって、自身の可能性を最大限に開花させることができることを示す、一つの好例と言えるでしょう。その活動は、これからもますます注目を集めることでしょう。

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