浜野定四郎

浜野定四郎：慶應義塾の発展に尽力した教育者、英語学者、翻訳家

浜野定四郎（1845年 - 1909年）は、幕末から明治にかけて活躍した教育者、英語学者、そして翻訳家です。彼は「慶應義塾仮憲法」制定後の初代慶應義塾長を務め、慶應義塾の発展に大きく貢献しました。

生涯

1845年（弘化2年）、豊前中津藩士の家に生まれた浜野は、幼名を丑之助と名乗りました。1864年（元治元年）、福澤諭吉が帰郷した際、小幡篤次郎らと共に福澤に同行し、慶應義塾に入塾しました。卒業後は教員として教鞭をとり、1874年から1878年まで中津市学校の校長を務めましたが、それ以外の期間は一貫して慶應義塾で教鞭を執りました。中津市学校校長を辞任後、慶應義塾に戻り、1878年頃から塾長代理を務め、1881年1月に「慶應義塾仮憲法」が制定されたことを受け、初代慶應義塾長に選出されました。

また、1887年からは会計建築長、1889年から1890年にかけては会計主任を歴任するなど、慶應義塾の運営にも深く関わりました。さらに、1881年には理事委員、1889年には第1期評議員に選出され、1902年に改訂規約により辞任するまで、連続して評議員を務めました。

1908年春に慶應義塾を退職し、翌1909年11月14日、脳溢血のため65歳で生涯を閉じました。

翻訳家としての功績

浜野は、明治初期の日本において、西洋の学問を積極的に紹介するため、数多くの英語の書物を翻訳しました。特に、イギリスの哲学者ハーバート・スペンサーの社会進化論に関する著作『政法哲学』の翻訳は、当時の日本の知識層に大きな影響を与えました。この翻訳を通して、西洋の思想や学問が日本に広まる上で、重要な役割を果たしました。

著書・翻訳

著書

『道徳本能ノ成長由来』（慶應義塾出版局、1907年）

翻訳

『新砲操練』（小幡甚三郎共訳、尚古堂、1870年）
『海産論』（ピーター・ランド・シモントス、伊東茂右衛門共訳、開拓使、1881年）
『政法哲学』（ハーバート・スペンサー、渡辺治共訳、石川半次郎、1884年）
『日本立法資料全集』（ハーバート・スペンサー、渡辺治共訳、信山社、2014年）

関連人物・事項

慶應義塾大学
慶應義塾大学の人物一覧
伊東茂右衛門

浜野定四郎は、教育者として、また翻訳家として、日本の近代化に大きく貢献した人物です。彼の業績は、今日の日本の教育や学問の発展に、重要な礎を築いたと言えるでしょう。

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