浦上三番崩れ

浦上三番崩れ

浦上三番崩れは、江戸時代末期に長崎の浦上地区で起きた隠れキリシタンへの弾圧事件です。これは、長崎で発生した4度にわたる浦上崩れと呼ばれるキリシタン弾圧事件のうち、3度目の事件にあたります。

事件の発端

安政3年（1856年）、浦上村のキリシタンに関する密告が長崎奉行所にもたらされました。この密告には、過去にキリスト教を棄教した元隠れキリシタン、いわゆる「転び者」が含まれていました。この密告を受けて、同年9月18日には、隠れキリシタン組織の指導者であった帳方・吉蔵をはじめとする15人のキリシタンが捕縛されました。

過去の浦上崩れとの違い

過去の浦上一番崩れでは、訴えた庄屋の不正問題が主な焦点となり、続く浦上二番崩れでは内部の慎重論から「証拠不十分」として関係者が釈放されるという結果に終わっていました。しかし、今回の浦上三番崩れでは、「転び者」による具体的な告発があったため、長崎奉行所は大規模かつ徹底的な取り調べを行いました。

弾圧の激化と組織の壊滅

この取り調べによって、吉蔵をはじめとする幹部のほとんどが獄死、あるいは拷問によって命を落としました。これにより、浦上の隠れキリシタン組織は壊滅的な状態に陥りました。

事件の矮小化

長崎奉行は、この事件を「村人は先祖代々の教えとして禁じられたキリシタンの教えを知らなかった」ことによって生じた「異宗事件」として処理しました。これは、事件を矮小化し、キリシタンの存在を公式に認めないための措置でした。しかし、事件に関する帳簿は『異宗一件』と命名され、長崎県立長崎図書館に現存しています。

事件の背景

浦上地区は、江戸時代初期にキリスト教が禁教とされた後も、信仰を密かに守り続けた隠れキリシタンが多く居住していました。浦上崩れは、こうした隠れキリシタンに対する幕府や長崎奉行所の弾圧を表す事件として、日本史において重要な位置を占めています。

参考文献

片岡弥吉「浦上崩」『国史大辞典 2』吉川弘文館 1980年 ISBN 978-4-642-00502-9
片岡千鶴子「浦上崩れ」『日本史大事典 1』平凡社 1992年 ISBN 978-4-582-13101-7
宮崎賢太郎「浦上崩れ」『日本歴史大事典 1』小学館 2001年 ISBN 978-4-095-23001-6
宮崎賢太郎「浦上三番崩れ」『長崎県大百科事典』（長崎新聞社 1984年）

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