浦和車両放火内ゲバ殺人事件

浦和車両放火内ゲバ殺人事件

浦和車両放火内ゲバ殺人事件は、1977年4月15日に埼玉県浦和市（現さいたま市南区）で発生した悲惨な事件である。この事件は、革労協（解放派）によって革マル派のメンバー4名が殺害されるという、極めて過激な内部闘争に絡むものであった。

事件の発端

事件は、午後9時5分に戸田市に位置する革マル派の印刷工場「こだま印刷」から、特別に装甲されたワゴン車が発進したことから始まった。この車両は敵対する派閥からの攻撃を回避するために金網や鉄板で強化されていたが、その運命は残酷なものとなった。

浦和市に近づく中、ワゴン車は目の前に現れた4トントラックによって急停止を余儀なくされる。さらに後続の2トントラックが数度にわたり衝突し、車両は挟まれる状態となった。その瞬間、トラックから約10人が突如として現れ、ワゴン車を取り囲むと、ドアを叩き壊すと同時に窓ガラスを割り、ガソリンを注ぎ込み、火を放った。

津々浦々の悲劇

事件が発生した場面を目撃した者たちが必死に消火を試みたものの、火勢は凄まじく、ワゴン車内にいた革マル派の4人は全員が焼死するという無惨な結果を迎えた。犯人たちは火を放った後、準備していたマイクロバスで現場から逃走した。

現場に駆けつけた警察官の話では、革マル派は遺族に対し遺体の引き渡しを求めたが、その反応は冷徹そのものであった。涙を流す者はおらず、感情の欠如がうかがえたという。翌日、印刷会社の社員5人と弁護士が浦和警察署で遺体の確認を行ったが、残念ながら全てが焼け焦げた状態であり、識別は不可能だった。

将来への波紋

同日夕方、革マル派は解放社での記者会見において、殺害された4名の名前を公表した。この発表は事件の中での緊張感を一層高めた。さらに、事件の翌日である4月17日には、反対同盟による大規模な集会が開催された。この集会においては、革労協（解放派）が自らの犯行を認めるビラを配布し、内ゲバの徹底的な実行を宣言した。

また、革マル派は同集会の行動を阻むために、重油を撒くなどの妨害行為を行っており、内部の敵を排除しようとする激しい意識がうかがえた。加えて、犯人と思われる者から「高度な戦術で殲滅する」といった内容の脅迫が解放社に届いていたという。

まとめ

この事件は、日本の新左翼運動のひとつの暗い歴史として記憶されている。内部分裂が引き起こした激烈な対立がもたらした結果は、共闘や連携という本来の目的から逸脱した悲劇であった。浦和車両放火内ゲバ殺人事件は、単なる一つの事件にとどまらず、当時の社会情勢や政治的背景における重要な一幕を形成したのである。

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