浦川聡子

浦川 聡子

日本の俳人であり、編集者としても知られる浦川聡子氏（1958年12月12日 - ）は、山形県に生まれました。その後の人生は、音楽、編集、そして俳句という三つの要素が深く結びついて展開していきます。

経歴と俳句との出会い

千葉大学教育学部音楽科を卒業した浦川氏は、まず音楽の教科書を専門とする出版社で社会人のキャリアをスタートさせます。その後、1985年から1988年にかけて、俳句専門誌『俳句四季』（東京四季出版刊）の編集に携わることになったのが、俳句の世界へ足を踏み入れる大きな契機となりました。

1986年からは、石寒太氏が主宰する俳句結社「炎環」に参加し、本格的な句作活動を開始します。1990年には、『俳句倶楽部』誌の特集企画「女流・句会実況中継」がきっかけとなり、若手の俳人たちと共に超結社グループ「雛の会」を結成しました。同年、現代俳句協会新人賞の佳作に入選。この受賞は1992年にも再び続き、その才能が認められ始めます。

そして1993年、作品「管楽器の闇」によって、現代俳句協会新人賞を受賞。俳人としての地位を確立しました。1994年には「炎環」の同人となり、結社活動の中心メンバーとなります。さらに2007年からは、大峯あきら氏が代表を務める俳句結社「晨」にも同人として加わり、活動の幅を広げました。

2015年には、自身の俳句会「オリーブの会」を立ち上げ、主宰として後進の指導にもあたっています。

作風と影響

浦川氏の俳句は、学生時代にアマチュアオーケストラで弦楽器に親しんだ経験が色濃く反映されていることに特徴があります。音楽的な素養に裏打ちされた作品には定評があり、特に音楽を題材とした句に独自の輝きを見せています。音や旋律、演奏する際の身体感覚などが、俳句の五七五に繊細に織り込まれています。

社会活動と著作

俳句界における活動に加え、浦川氏は日本文藝家協会および現代俳句協会の会員として、文芸振興にも貢献しています。2014年からは放送大学の非常勤講師を務め、俳句の魅力を広く伝える教育活動にも力を入れています。

また、その作品は高校の国語教科書にも掲載されています。平成25年度版の『明解国語総合』には、浦川氏の俳句が採録され、多くの学生がその作品に触れる機会を得ています。

著書としては、句集に『クロイツェル・ソナタ』（ふらんす堂、1995年）、『水の宅急便』（ふらんす堂、2002年）、『眠れる木』（深夜叢書社、2012年）などがあり、その句業を知る上で重要な手がかりとなります。俳句関連の著書としては、『教科書にでてくる！俳句かるた』（ポプラ社、2011年）、『もっと知りたい 美しい季節のことば』（別冊ＮＨＫ俳句　ＮＨＫ出版、2013年）など、俳句の普及や理解を助ける書籍も手掛けています。

浦川聡子氏は、俳人、編集者、そして教育者として、多角的な視点から俳句の世界に関わり、その豊かな経験と感性によって独自の俳句を生み出し続けています。音楽との融合という稀有な特質を持つその作品は、今後も注目を集めるでしょう。

もう一度検索