浦川麗子

浦川麗子：舞台とスクリーン、そしてラジオを彩った豊かなキャリア

浦川麗子さんは、1931年岡山県生まれのベテラン女優、声優です。福島県立女子高等学校卒業後、國學院大學文学部国文科に進学するも中退。在学中は演劇部に所属し、アマチュア劇団でも活動していました。

彼女のプロとしてのキャリアは、NHK福島放送劇団から始まりました。上京後は、劇団廿世紀や劇団こまどりを経て、1952年にラジオ東京放送劇団2期生として入団。その後、1959年に退団し、東京俳優生活協同組合を経て、1969年4月には文学座に入団しています。

女優としての活動と並行して、浦川さんはラジオパーソナリティとしても成功を収めました。1955年から放送されたラジオ番組『ポポン・ミュージック・レター』では、志摩夕起夫さんと共に司会を務めました。志摩さんの要望により、家庭的な雰囲気を持つ女性として浦川さんが起用されたというエピソードも残っています。当初は志摩さんが浦川さんをリードする場面が多かったものの、番組が続くにつれて、浦川さんの存在感が増し、次第に浦川さんが志摩さんをリードする場面も増えていったそうです。

数年にわたって放送されたこの番組では、二人の交際を噂する声もあったようですが、浦川さんと志摩さんは、放送開始当初に数回お茶をしただけで、それ以降は仕事の都合でほとんど会う機会がなかったと語っています。番組を通して培われた二人の信頼関係は、長く続く人気番組の秘訣だったと言えるでしょう。

映画やテレビドラマへの出演も多数あります。『わんぱく天使』（1963年）、『女の花道』（1966年）といった映画作品への出演や、『愛情物語』（1957年）、『伝七捕物帳』（1974年）、『てだのふあ・おきなわ亭』（1979年）、『木曽街道いそぎ旅』（1980年）、『京都妖怪地図 きらら坂に住む400歳の氷女』（1981年）、『愛の別れ道』（1982年）など、数多くのテレビドラマに出演し、幅広い役柄を演じきりました。

舞台においても、彼女の活躍は目覚ましく、『津和野』（1968年）、『メアリー・スチュアート』（1968年）、『欲望という名の電車』（1969年）、『阿Q外伝』（1969年）、『冬の花』（1970年）、『華岡青洲の妻』（1970年）、『にごりえ』（1972年）、『七本の色鉛筆』（1973年）など、数々の舞台作品に出演し、その演技力は高く評価されています。

さらに、ラジオドラマや吹き替えの分野でも才能を発揮。『チャッカリ夫人とウッカリ夫人』（1953年）、『花嫁はどこにいる』（1954年-1955年）、『花ふたたび』（1955年-1956年）、『ある月光曲』（1960年）、『仏教民話アワー』（1961年）などのラジオドラマや、『学生たちの道』（1963年）、『タイムトンネル』（1967年）、『冒険』（1967年）、『ニュールンベルグ裁判』（1971年）、『刑事』（1974年）、『大反撃』（1975年）、『新ドラキュラ/悪魔の儀式』（1977年）などの映画吹き替えなど、幅広く活躍しました。

これらの多様な活動は、浦川麗子さんの類まれな才能と、演劇への揺るぎない情熱の賜物と言えるでしょう。そして、第5回女性ヒューマン・ドキュメンタリー大賞では、『幕が上がる』で入賞を果たすなど、その功績は高く評価されています。

浦川麗子さんの長年にわたる活動は、日本の演劇史、放送史において重要な足跡を残しており、これからも多くの人々に記憶されることでしょう。

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