浦舟水道橋

浦舟水道橋（うらふねすいどうばし）

浦舟水道橋は、神奈川県横浜市南区の中村川に架かる、歩行者専用のトラス橋です。この橋は、現存するピン結合のプラットトラス形式の道路橋としては、日本国内で最古の橋として知られています。

歴史

浦舟水道橋の歴史は、1893年（明治26年）にまで遡ります。当時、神奈川県技師であった野口嘉茂の設計により、イギリスのシェルトン社製の鋼材を用いて、堀川（中村川の下流部）の西之橋として架設されました。この橋は、その後の関東大震災後の復興事業の一環として、1927年（昭和2年）に西之橋の上流に位置する中村川の翁橋へと移設されました。さらに、1989年（平成元年）には、首都高速神奈川3号狩場線の高架橋建設に伴う護岸改修工事に合わせて、以前「ドンドン橋」と呼ばれていた人道橋があった場所に移設されました。現在見られる橋は、西之橋として使用されていた当時よりも規模が縮小されています。

現橋

現在の浦舟水道橋は、左岸が南区浦舟町二・三丁目、右岸が同中村町三丁目に位置しています。橋のトラス部分は朱色に塗装されており、路面は板張りになっています。中村川の直上には、首都高速狩場線の高架が通っています。左岸には横浜市立大学附属市民総合医療センターが、右岸には神奈川県埋蔵文化財センターや、かながわ考古学財団本部、横浜市立中村小学校などが近くに所在しています。

この橋は、その歴史的価値と構造の独自性から、1991年（平成3年）には、同じ中村川の吉野橋、架け替え後の西之橋とともに「かながわの橋100選」に選定され、さらに2000年（平成12年）には「横浜市認定歴史的建造物」にも認定されました。

隣接する橋

中村川における浦舟水道橋の隣接橋は以下の通りです。

上流側：道場橋
下流側：三吉橋

参考文献

池田尚治『かながわの橋100選写真集』神奈川県、1992年、23頁。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f7488/p27871.html
地域資産発掘CORPS『橋の空間演出』株式会社ムーサ、1996年2月28日、48頁。

浦舟水道橋は、その長い歴史の中で場所を変えながらも、地域の歴史と人々の生活を支えてきた重要な橋梁です。その美しい姿は、今もなお、訪れる人々を魅了し続けています。

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