浦西和彦

浦西 和彦の生涯と業績

浦西和彦（うらにしかずひこ）は、1941年9月8日に大阪市に生まれ、2017年11月16日に膵臓癌により亡くなりました。彼は日本の国文学者として特に近代文学と書誌学において高く評価されています。関西大学文学部国文科を卒業後、岐阜県立坂下女子高等学校および岐阜県立大垣南高等学校で教鞭を執った後、1966年に谷沢永一のすすめで関西大学の助教授に就任、後に教授となりました。

1986年には、学位論文『日本プロレタリア文学の研究』により文学博士の称号を取得し、2012年には定年を迎え、名誉教授に就任しました。浦西氏の学問は、特にプロレタリア文学や大阪出身の文学者に関する書誌の作成に力を入れており、多くの資料を後進に残しました。

主な著書と編纂作品

彼の著作は、学術界での重要な位置を占めており、主な著書には以下のようなものがあります：

• - 『日本プロレタリア文学の研究』（桜楓社、1985年）
• - 『葉山嘉樹 考証と資料』（明治書院、1994年）
• - 『現代文学研究の枝折』（和泉書院、2001年）
• - 『浦西和彦著述と書誌』（全4巻、和泉書院、2008-2009年）
• - 『文化運動年表 明治大正編』（三人社、2016年）
• - 『文化運動年表 昭和戦前編』（三人社、2016年）

また、彼は多くの編纂や編集にも関与しました。
特に、次のような作品が含まれます：

• - 『葉山嘉樹』（日外アソシエーツ、1987年）
• - 『昭和文学年表』（全9巻、共同編纂、1995-1996年）
• - 『大阪近代文学作品事典』（和泉書院、2006年）
• - 『温泉文学事典』（和泉書院、2016年）

など、多岐にわたる分野で活躍しました。

学術的貢献

浦西氏の研究成果は、特に日本のプロレタリア文学に関する知見を現代に伝える上で重要な役割を果たしました。彼の研究は、単なる文献の整理に留まらず、文学の社会的背景や歴史的文脈を深く考察するものであり、後進の研究者にも大きな影響を与えています。彼が発表した論文も多岐にわたっており、その一部は国際的な文献学の分野でも注目されています。

彼の論文には以下が含まれています：

• - 「葉山嘉樹宛小林多喜二島木健作未発表書簡」（『國文學』第43巻、1968年）
• - 「「淫売婦」と『海に生くる人々』」（『國文學』第44巻、1970年）
• - 「里村欣三の「第二の人生」(読む)」（『日本文学』第29巻第12号、1980年）

人格と評価

浦西和彦氏は、学者としてだけでなく、人としても誠実さと熱意を持った人物でした。2014年には、大阪市から市民表彰を受けるなど、その功績が広く認められています。彼の学問に対する情熱は、多くの学生や研究者に影響を与え、彼の存在は文学界において大きな足跡を残しました。彼の死は、多くの人々にとって大きな痛手であり、今もなおその業績が語り継がれています。

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