海の若大将

映画『海の若大将』

『海の若大将』（うみのわかだいしょう）は、加山雄三が主演する「若大将シリーズ」の5作目にあたる映画です。1965年の公開から今日に至るまで、多くのファンに愛されている作品です。本作は、当時の宝塚映画によって制作され、ほとんどのロケーションが関西で行われましたが、一部は東京でも撮影されています。なお、併映として『フランケンシュタイン対地底怪獣』も同時に公開されました。

キャストの紹介

本作品の主要キャストとして、田沼雄一を加山雄三が演じ、彼の大学生活と人間関係が描かれます。他の主要キャストとして、芦屋澄子を星由里子、石山新次郎を田中邦衛が演じています。また、サブキャストには江原達怡、有島一郎、飯田蝶子らが名を連ねています。監督は、クレージー映画で名を馳せた古澤憲吾が担当し、今作ではシリーズ復活の幕開けを飾りました。

ストーリーの概要

物語は、京南大学水泳部の期待の星・田沼雄一が主人公です。彼はスーパーマーケットでレジ係の澄子と出会い、恋心を抱くようになります。青大将主催のダンスパーティに参加し、停電のハプニングで、雄一がギターを片手に登場し、澄子は彼に心を奪われます。しかし、青大将はエレキギターを使うことができず、事態が進展する中、雄一は試験でのカンニング騒動に巻き込まれ、停学処分を受けてしまいます。さらに彼は、水産学部に進学していたことが父親に知られ、勘当の憂き目に遭います。

ついには雄一は航海士としての未来を模索し、光進丸という商船に乗り込みます。しかし、その船は予想外にも青大将が船長を務めており、澄子が密かに船に乗り込む展開となります。

航海の途中、台風に遭遇し、彼らは御蔵島に漂流します。島には美しい網元の娘・昌江がいて、雄一と彼女の関係に嫉妬した澄子は心を痛めます。御蔵島から東京に帰る日、日豪水泳大会の開催が迫る中、雄一は澄子との関係に悩みます。浩瀚な展開の中で、彼女は自ら身を引く決意を固めるのです。

撮影の裏話と特徴

本作は撮影に限られた期間があったため、古澤憲吾監督にとって初めての若大将シリーズとなりました。また、特異な点として、ロケーションは関西が中心で、東京を舞台にしながらも大阪プールでの水泳シーンが撮影されたことが挙げられます。古澤監督は、以前の作品から変化を求めて、設定を東京らしいシーンが撮れる場所へ変更しました。同時に、脚本が田波靖男による単独執筆となり、恋愛要素の新しい描写が試みられましたが、プロデューサーの意向によりプラトニックな関係が維持されました。

音楽とアイキャッチ

音楽は広瀬健次郎が手がけており、作中では多くの名曲が流れます。特に、オープニングとエンディングに使用される「海の若大将」が印象的です。この曲は、観客に爽快感を与え、映画全体のテーマを体現しています。映画の中で寺内タケシとブルージーンズが初めて出演し、同バンドによるバック演奏も映画の魅力を引き立てました。

レガシー

この映画は、若大将シリーズの中で特に記憶に残る作品のひとつとされています。キャストや音楽、そしてストーリーの多様性が、世代を超えて多くの観客に愛される要因となっています。加山雄三の魅力が光るこの作品をぜひ多くの人に楽しんでもらいたいものです。

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