海はふりむかない

映画『海はふりむかない』の魅力

1969年9月10日にリリースされた西郷輝彦のシングル『海はふりむかない』。この曲は、同年9月17日に公開された映画『海はふりむかない』の主題歌として、さらに確固たる地位を築くこととなりました。本記事では、この映画について詳しく探っていきます。

映画の背景

本作の制作は、人気芸能雑誌『明星』が実施した「西郷輝彦の唄う歌」の歌詞募集に端を発します。その応募作品が見事選ばれ、レコード化されることとなりました。映画は松竹により制作され、西郷輝彦が主演を務めます。『第20回NHK紅白歌合戦』でも、西郷はこの曲を披露しており、その映像も今なおファンの心に残っています。

曲の詳細

シングルの収録曲は以下の通りです。

• - 海はふりむかない (3分7秒)

- 作詞：田谷静恵、補作詞：水沢圭吾、作曲：中川博之、編曲：小杉仁三

• - 渚の恋まつり (2分57秒)

- 作詞：星川あゆみ、補作詞：水沢圭吾、作曲：小杉仁三、編曲：土持城夫

映画のストーリー

映画は、兄と弟の愛の対比を描いています。エリートコースを進む兄とは異なり、弟・礼次は横浜で自由なおもむきで生活しています。兄に捨てられた美枝に対し、礼次は同情を抱きますが、彼女が原爆病を抱えることを知り、その同情から激しい愛情へと変わっていく様子が描かれています。

スタッフとキャスト

本作は斎藤耕一が監督を務め、製作は樋口清、脚本は星川清司が担当。出演者には、西郷輝彦や尾崎奈々、勝部演之など魅力的なキャストが揃っています。特に、西郷と尾崎が演じる二人の不器用な愛の形は、観客の心に深い印象を残します。

撮影地について

映画の大部分は神奈川県横浜市と広島県で撮影されました。特に横浜では、港や中区の風景が活用され、リアルな背景描写が生まれました。一方、広島では伝統的な盆燈籠のシーンが挿入され、その地域の文化が色濃く映し出されています。

映画が映し出すメッセージ

物語は、反原爆的なテーマも含んでいます。劇中では、原爆の影響やその後の社会の厳しさが描かれ、現実として存在する課題にも触れています。この点が、当時の若者たちにとってどれほど深い意味を持っていたかを考えさせられます。

作品の評価と影響

寺脇研は本作を「西郷輝彦主演の歌謡青春映画の中で最高の作品」と評価しています。新鋭監督の斎藤耕一によって、斬新なカメラワークや映像美が表現され、その後の作品にも影響を与えました。当時、広島が原爆の惨状から復興の途上にありつつあった中で、映画が訴えるメッセージが多くの人々の心に響いたのです。

ソフト化状況

映画はその後、ビデオやDVDとしてもリリースされ、多くの人がその作品に再度触れる機会がありました。特に2006年には松竹からDVDが発売され、新たなファン層も獲得しています。

まとめ

『海はふりむかない』は、青春と愛、そして痛みを描いた作品であり、1969年の日本社会を背景に持つ重要な映画です。西郷輝彦の名曲と共に、その物語は今も多くの人々に語り継がれています。

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