第20回NHK紅白歌合戦

第20回NHK紅白歌合戦

1969年12月31日、東京宝塚劇場で開催された第20回NHK紅白歌合戦は、21時から23時45分まで放送されました。歴史的なこの年、紅組が白組を下し、通算成績は10勝10敗となりました。最初に目を引いたのは、紅組と白組の司会者です。紅組の司会は伊東ゆかりが務め、彼女は「歌の祭典」での実績をもとに早々に選ばれ、発表時には自身の担当が決まっていたことを示唆するコメントを残しました。また、白組は坂本九、さらに総合司会には宮田輝が選ばれました。サブ司会には多くの著名な歌手や俳優が候補に挙がりましたが、前回の紅組司会を務めた水前寺清子は他の仕事のため今回の出演を見送りました。

出場歌手は、今年も多彩で新たに参加したアーティストたちが注目を集めました。紅組ではザ・ピーナッツや伊東ゆかり、弘田三枝子がパフォーマンスを披露しました。一方、白組はザ・ドリフターズが多彩な曲目で観客を楽しませました。オープニングでは、歌手たちが「黒ネコのタンゴ」を替え歌で応援し、活気であふれていました。

出場アーティストの選考については議論がありました。特に江利チエミは、連続出場記録を持ちつつも落選したことが話題となり、その理由としてベテラン歌手の再配置が影響したとされています。僅差での選考は多くのファンに衝撃を与えました。

演奏面では、紅組と白組それぞれに異なるオーケストラが指揮し、全体的にバラエティに富んだパフォーマンスが展開されました。特に紅組は原信夫とシャープス・アンド・フラッツが前半を担当し、白組は有馬徹とノーチェ・クバーナが演奏しました。審査員は多彩で、場の雰囲気を一層盛り上げました。

また、演出面でも変化が見られ、ステージに設けられた歌手席や審査員席の位置が変更されるなどの工夫がありました。オープニングの入場行進時には、歌手名がテロップで流れる試みもあり、視聴者の興味を引きました。さらに、「思い出のメロディー」の放送なども影響し、懐かしいヒット曲が多く演奏されたこともポイントです。

この年の紅白歌合戦は、視聴率は69.7%となり過去最高人気を記録しましたが、70%台を割るという新たな時代の幕開けを示唆する結果となりました。翌年の第21回での司会者変更や、他の番組との競合など、紅白にとって試練が続くことになります。

このようなエピソードや演出の変化は、時代の流れと共に進化を続ける紅白の魅力を物語っています。今後も紅白歌合戦は、日本の音楽文化の重要な一部であり続けることでしょう。

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