海巡署

海巡署(海洋委員会海巡署)について



海巡署は、中華民国台湾)の海洋委員会に属する、沿岸警備を専門とする行政機関です。日本の海上保安庁に相当する組織であり、台湾周辺の海域における治安維持、救難活動、法執行など、幅広い任務を担っています。職員は警察官、軍人、税関職員、その他の公務員で構成されています。

海巡署の役割と特徴



海巡署は、平時には軍事任務には直接関与しませんが、有事の際には国防法に基づき、海軍の指揮下で軍事作戦に参加する可能性があります。主な任務は以下の通りです。

沿岸警備: 台湾の海岸線と周辺海域の警戒監視を行い、不法侵入や密輸などの犯罪行為を取り締まります。
救難活動: 海難事故や災害発生時における人命救助活動を専門的に行います。
法執行: 海上における法律違反行為の取締りや、漁業資源の保護などを行います。
海洋環境保護: 海洋汚染の監視や防止対策を実施します。

組織構成



海巡署は、本署を中心に、以下の部門で構成されています。

内部部局: 計画部、検査部、警備救難部、情報部、兵站部、通信部、秘書局、人事局、会計局、政風局、巡防区指揮部、警備隊など。
分署: 北部分署、中部分署、南部分署、東部分署、金馬澎分署、南東沙分署。各分署は、管轄区域の巡視・監視活動を行います。
その他: 艦隊分署、偵防分署、教育訓練試験センターなど。

海巡署の沿革



台湾における海上警備業務は、以前は複数の機関が分担していましたが、権限の分散による非効率が問題となっていました。1999年国家安全会議が専門の海上警察機構設立を提案。行政院での検討を経て、2000年1月28日に「海岸巡防署」が発足しました。

2018年4月28日には、海洋委員会の発足に伴い、「行政院海岸巡防署」から現在の「海巡署」へと名称が変更され、海洋委員会の下部組織となりました。

近年の所属艦船には、“R.O.C. COAST GUARD”の上に“TAIWAN”と標記されています。これは、国際的な場において台湾の存在を明確にするための措置です。正式名称は「台灣海岸警衛隊」や「台灣海岸警備隊」ではありません。

主な装備



海巡署は、各種の艦船、航空機、武器を保有しています。

巡防救難艦



100トン以上の大型巡視船。日本の海上保安庁のPLH、PL、PM、PS型に相当します。長期間の航海が可能で、悪天候下でも活動できる能力を持っています。

巡防艇



100トン未満の巡視艇。日本の海上保安庁のPC、CL型に相当します。小型で機動性に優れ、沿岸部の警備や近海での活動に適しています。

特殊船艇



除染船や特殊救難艇など、特殊な任務に対応する船舶も保有しています。

航空機



固定翼機やヘリコプターを保有し、上空からの監視活動や救難活動に活用しています。空勤吊掛分隊は空中勤務総隊を支援します。

武器



各種の自動小銃や拳銃などを装備し、海上での法執行活動に必要な能力を備えています。一部の武器は、台湾の主要武器メーカーである國防部軍備局によって製造されています。

海巡署の組織詳細



海巡署幹部



海巡署署長
海巡署副署長
海巡署主任秘書

主要組織



艦隊分署:各種巡視船艇を運用する部門
北部地区機動海巡隊:基隆港、台北港を管轄
中部地区機動海巡隊:台中港を管轄
南部地区機動海巡隊:高雄港を管轄
東部地区機動海巡隊:花蓮港を管轄
直屬船隊:興達港を拠点

海巡隊



各港湾・地域を管轄する海巡隊。

第一(基隆)海巡隊
第二(淡水)海巡隊
第三(台中)海巡隊
第四(台南)海巡隊
第五(高雄)海巡隊
第六(花蓮)海巡隊
第七(蘇澳)海巡隊
第八(澎湖)海巡隊
第九(金門)海巡隊
第十(馬祖)海巡隊
第十二(新竹)海巡隊
第十三(布袋)海巡隊
第十四(恆春)海巡隊
第十五(台東)海巡隊
第十六(澳底)海巡隊

分署と巡防区



台湾全土を管轄する分署。
各分署は、複数の巡防区を管轄。

北部分署
第一(宜蘭)巡防区
第二(北基)巡防区
第三(桃竹)巡防区
中部分署
第四(中彰)巡防区
第五(雲嘉)巡防区
南部分署
第六(台南)巡防区
第七(高雄)巡防区
第八(屏東)巡防区
東部分署
第九(花蓮)巡防区
第十(台東)巡防区
金馬澎分署
第十一(馬祖)巡防区
第十二(金門)巡防区
第十一(澎湖)巡防区
東南沙分署
東沙指揮部
南沙指揮部


偵防分署



宜蘭査緝隊
基隆査緝隊
台北査緝隊
桃園査緝隊
新竹査緝隊
苗栗査緝隊
台中査緝隊
彰化査緝隊
雲林査緝隊
嘉義査緝隊
台南査緝隊
北門査緝隊
高雄査緝隊
鳳山査緝隊
屏東査緝隊
花蓮査緝隊
連江査緝隊
金門査緝隊
澎湖査緝隊
偵防査緝隊
特勤隊
空勤吊掛分隊(空中勤務総隊を支援する)
第一小隊(松山)
第二小隊(清泉崗)
第三小隊(小港)
第四小隊(花蓮)
第五小隊(成功)


教育訓練試験センター


学員隊

関連項目



中華民国の政治
国共内戦
アメリカ沿岸警備隊

外部リンク



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