海洋天堂

映画『海洋天堂』の紹介

『海洋天堂』は2010年6月に公開された中国・香港の合作映画であり、監督・脚本はシュエ・シャオルーが手掛けています。主演にはアクション俳優のジェット・リーとウェン・ジャンが名を連ね、自閉症の青年と父親との深い絆が描かれています。映画は、エンドロールの直前に「平凡にして偉大なるすべての父と母へ捧ぐ」とのメッセージが添えられる感動作です。

キャストとストーリーの概要

物語は、47歳の水族館職員ワン・シンチョン（演：ジェット・リー）と、彼の自閉症と重度の知的障害を持つ21歳の息子ターフー（演：ウェン・ジャン）との生活を中心に進展します。シンチョンは、妻を海の事故で失い、以後一人でターフーを育ててきました。しかし、自身が末期癌で余命わずかと知ったことで、ターフーの未来を心配するようになります。父の死後、息子がどのように暮らすのかという恐怖に押しつぶされそうになります。

シンチョンは、息子を幸せにするために最善を尽くそうとします。彼は旅行と偽ってターフーを海へ連れ出し、心中を試みますが、スイミングが得意なターフーに救われてしまいます。無事に帰宅したシンチョンは、今後のターフーの生活を考え、日常生活の基本的なスキルを教え始めます。卵の茹で方や服の脱ぎ着、バスへの乗り降りの仕方など、小さなことから一つ一つ学ばせていきます。

友情と試練

隣人のチャイ（演：ジュー・ユアンユアン）は、シンチョンの状況を知って彼をサポートしようとしますが、シンチョンはチャイを気遣い、再婚を考えません。さらに、ターフーが通っていた養護学校の元校長リウ（演：イェン・ミンチュー）は、自ら病気を抱えながらも、ターフーが入居できる養護施設を仲介してくれます。

ターフーが新しい環境に適応しようとする中で、父子の関係は一層強固になっていきます。ターフーの情緒不安定な時期もありましたが、その中でシンチョンは共に暮らしながら支え合います。ターフーが水族館で出会ったサーカス団のリンリン（演：グイ・ルンメイ）との交流も物語に新たな要素を加えます。

感動の結末

時間が経つにつれ、シンチョンはターフーに今後の生活の術を教える一方、自分の死が近いことを実感します。彼はターフーの思い出に残るよう、様々な形で愛情を注ぎます。シンチョンは「海亀になる」と息子に伝え、彼自身が海の中でターフーを見守る存在になりたいと願います。映画は、シンチョンの葬儀の様子を描きながら、ターフーが父の教えを思い出しながら日常生活をこなす姿で締めくくられます。

シンチョンの死後もターフーは、父の教えを胸に成長を続けます。彼は水族館での生活を大切にし、父の存在を感じながら生きていくのです。ターフーが電話の音に笑顔で反応する姿は、父との思い出を大切に生きていることを意味しています。

映画の意義

『海洋天堂』は、家族の絆と愛、そして日常生活の中での成長を描いた感動的な作品であり、多くの人々に深い感銘を与えるストーリーとなっています。主演のジェット・リーは、アクションのイメージを脱却し、深い人間ドラマを演じることで高く評価され、ターフーを演じたウェン・ジャンもその演技力が認められました。映画全体を通じて、親の愛と子に対する責任感が強く訴えかけられ、観る人に温かい感情を残します。

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