海王丸 (初代)

海王丸について

海王丸（かいおうまる）は、日本の航海練習船であり、特に大型の練習帆船として知られています。この船は1930年に初代が竣工し、以来約50年間「海の貴婦人」と呼ばれて親しまれてきました。1989年にはその役割を海王丸II世に引き継ぎました。現在、初代海王丸は富山県射水市にある「みなとオアシス海王丸パーク」で展示され、多くの人々にその歴史と魅力を示しています。

船歴の始まり

初代海王丸の誕生の背景には、1927年に起こった悲劇的な沈没事故が存在しました。この事故では、鹿児島県立商船水産学校の練習船「霧島丸」が暴風雨によって沈没し、乗組員及び生徒の53名が全員亡くなりました。この惨事を受け、翌年には大型練習帆船2隻の建造が決定されました。これには日本丸と海王丸が含まれ、設計はスコットランドのラメージ・エンド・ファーガソンが手掛け、建造は神戸の川崎造船所で行われました。どちらの船も文部省航海練習所に属し、海王丸はミクロネシアへの初めての遠洋航海を192年10月から12月にかけて行いました。

太平洋戦争とその後

1943年には太平洋戦争が激化し、海王丸の帆装が取り外され、船体は灰色に塗り替えられて石炭の輸送任務に従事しました。戦後、海王丸は27,000人の引揚者を輸送し、1955年には帆装が復元され、元の姿に戻りました。これ以降、海王丸は数々の遠洋航海に参加し、特に1960年の日米修交百年祭では華々しい航海を果たしました。

海王丸の引退と現在

1989年に海王丸は引退し、その後、日本各地で引取先を探しました。最終的に富山県と大阪市が共同で設立した財団に引き渡され、富山新港にて係留展示されることになりました。1992年には「海王丸パーク」が開場し、以後多くの観光客が訪れる場となっています。

海王丸パークの魅力

「みなとオアシス海王丸パーク」では、海王丸を中心に様々な施設が揃っており、定期的にボランティアによる帆展帆イベントや特別見学会が行われており、訪れる人々に多くの楽しみを提供しています。また、周辺にも飲食店や売店があり、観光名所としても注目されています。特に、海王丸の進水日である2月14日は「恋人の聖地」として認定され、特別なイベントも行われています。

交通アクセスと入園情報

海王丸パークへのアクセスは、北陸自動車道の小杉ICから車で約20分、また万葉線の海王丸駅から徒歩5分です。入園は無料で、海王丸内部の見学には400円の料金が必要です。

船の設計と特徴

海王丸は4檣バーク型の帆船で、全体の帆数は29枚、総面積は2,050平方メートルに達します。ディーゼル機関も搭載し、機走も可能な設計となっています。海王丸に関連するイベントの開催や映画、アニメ等への登場もあり、その存在は多岐にわたります。

海王丸は単なる船ではなく、日本の海洋教育の歴史を象徴する存在として、今もなお多くの人々に愛され続けているのです。

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