海軍根拠地隊

海軍根拠地隊の概要

大日本帝国海軍が設置した海軍根拠地隊は、戦争期間中に臨時の海軍基地を防衛・管理する陸上部隊です。この部隊は、特設根拠地隊と特別根拠地隊の2つのカテゴリに分かれ、それぞれ異なる任務と役割を持っていました。

沿革

海軍根拠地隊の起源は、日清戦争の際に旅順口海軍根拠地を設立したことに始まります。この時期、日本は本土周辺の防衛に注力していましたが、旅順の占領を契機に遠方での基地設置が重要視されるようになりました。その後、日露戦争に向けての戦備が進む中で、仮根拠地防備隊の設置が決定され、出征艦隊のための防備に当たりました。

第一次世界大戦中にも日本は占領地に海軍部隊を配備し、特に青島や南洋諸島に防備隊を設けました。1916年末には特設艦船部隊令が策定され、その後の1920年には特設根拠地隊の管理方針が確立されました。

日中戦争の進展とともに、1939年には特別根拠地隊令が制定され、特設防備隊はより多様な任務を果たすことが求められるようになりました。これにより、広い地域で陸軍とも協力し、独立した作戦を展開できる能力を持つ部隊として見直されたのです。

組織構成

特設根拠地隊は、基本的に特設という称号がない場合が多く、一般的には「根拠地隊」と呼ばれました。仮根拠地やその周辺の警備、港務・通信業務を担い、艦隊の補給管理や患者の診療なども行っていました。戦場の状況に応じて、様々な隷下部隊を持ち、その兵力は各根拠地によって異なりました。

一方、特別根拠地隊は艦隊や警備府に所属し、特に防衛や港務に加え、艦船部隊の補給や医療に関連する業務も担うことが求められました。こちらも、編制や任務の内容は特設根拠地隊と似ていますが、より戦闘的な側面を持つ部隊でした。

戦役への参加

海軍根拠地隊は、日本の戦争活動中に数多くの重要な役割を果たしました。特に日中戦争から太平洋戦争にかけて、その数は増加し、多様な戦線での活動を展開しました。各地で海上交通の保護や陸戦隊による拠点防衛、また艦艇による上陸作戦への協力など、戦局の変化に対応して展開しました。

1941年12月の太平洋戦争開戦時には9つの特設根拠地隊と6つの特別根拠地隊が存在しており、終戦の1945年8月にはそれぞれ26個と29個に増加していました。このことからも、海軍根拠地隊が戦争遂行においてどれほど重要な役割を果たしていたかが伺えます。

参考文献

• - 「海軍」編集委員会（編）　『海軍 第12巻』　誠文図書、1981年。
• - 防衛研修所戦史室　『陸海軍年表 付・兵器・兵語の解説』　朝雲新聞社〈戦史叢書〉、1980年。
• - 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。

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