海軍衛生学校

海軍衛生学校について

海軍衛生学校は、旧日本海軍において、海軍病院、病院船、艦船、地上基地などで必要となる看護や衛生に関する専門知識や技術を習得した人材を育成するために設立された教育機関です。

学校の概要

海軍衛生学校では、衛生下士官や中学校卒業生を対象に、普通科、高等科、特修科、専攻科といった様々な課程が設けられていました。学校は、神奈川県横浜市の戸塚海軍衛生学校と、広島県賀茂郡乃美尾村（現在の東広島市）の賀茂海軍衛生学校の2か所に設置されました。

歴史

当初、海軍病院に練習部を設置し、看護師や衛生兵の育成を行っていました。しかし、太平洋戦争の開戦により、その必要性が高まり、従来の練習部だけでは対応が難しくなりました。そこで、1942年9月に戸塚海軍病院（現在の横浜医療センター）に併設する練習部を大幅に増強し、教育機関としての機能を強化しました。当初、戸塚病院は軍医学校の分校として計画されていましたが、軍医将校と衛生兵の養成を分けることになり、衛生校も軍医校と同様の教育課程を持つことになりました。

1943年3月、戸塚病院が開院し、同時に練習部も教育を開始しました。戦況が悪化する中、衛生練習生の増員が急務となり、1943年7月には賀茂海軍病院（現在の賀茂精神医療センター）にも練習部が設置されました。賀茂病院は1944年5月に開院し、練習部も教育を開始しました。戸塚病院は横須賀鎮守府と舞鶴鎮守府の要員と軍医科練習生を、賀茂病院は呉鎮守府と佐世保鎮守府の要員と薬剤科・歯科医科練習生を受け入れました。

しかし、1944年度には高等科の採用が停止され、特修科の練習生と選修生の制度も廃止されたため、当初予定されていた4科制は事実上崩壊しました。高等科への進学を希望していた生徒は、軍医校への進学を余儀なくされました。

1945年4月1日、両練習部は病院から独立し、衛生学校として改編されました。1945年7月、戸塚校は中学卒業生700名を特別幹部練習生として募集し、緊急養成を開始しましたが、終戦により修了には至りませんでした。両校とも、卒業生を戦地に送り出す前に終戦を迎えたため、最前線で医療に貢献した者はいません。ただし、広島への原爆投下時には、賀茂校の歯科医見習尉官50名と特別練習生70名が治療のために派遣されました。

終戦後、戸塚校の建物は進駐軍に接収され、その後、社会福祉法人聖母会が譲り受けて養老院として運営しましたが、1955年の火災で焼失しました。

歴代校長

戸塚衛生学校長
金井泉 軍医少将：1945年4月1日 - 閉校

賀茂衛生学校長
田辺優 軍医少将：1945年4月1日 - 閉校

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