海軍財務長官

海軍財務長官の歴史と役割

イギリス海軍における海軍財務長官は、海軍の財務管理を担当する重要な職務であり、その起源は16世紀に遡ります。具体的には、ヘンリー8世の治世中に1546年に正式に設立されましたが、その実質的な前身は1524年から存在していたのです。ここでは、海軍財務長官の職務の歴史や重要性について詳しく見ていきます。

創設の背景

1524年9月、サー・ウィリアム・ゴンソンがイギリス海軍の保存倉庫の管理者として任命され、その活動は1544年まで続きました。ゴンソンは、正式な職名が与えられないにもかかわらず、海軍の実質的な指導者として広範な権力を行使していました。1544年に彼が亡くなると、彼の後任としてブリストル出身の商人ジョン・ウィンターが任命されましたが、彼も短期間で亡くなりました。その後、1546年にロバート・レッグが正式に任命され、ここから海軍財務長官としての権限が法的に確立されることとなります。

任期と職務内容

海軍財務長官の任期は、初期の頃こそ終身任命でしたが、1673年以降は国王の指示での任期制となりました。この役職は、海軍における財務の管理、予算の編成、さらには支出に対する承認の責任を担っていました。1557年には、平時の海軍年間予算が設定されるなど、財務管理に関する仕組みが整備されていきます。

また、監査の手続きも1546年に明記され、その内容は比較的簡素なものでした。財務長官が自己の会計記録を提出すれば、監査人はその支出を否決することができず、海軍委員会が最終的な支出決定権を持っていました。

俸給の変化

この役職の俸給は、創設当初は日給1シリングでしたが、1546年以降、特許状によって年俸が正式に支給されるようになりました。初期の年俸は100マークでしたが、様々な時代を経て、特に清教徒革命期にはリチャード・ハッチンソンが1,000ポンドで任命されるなど、徐々に俸給が上昇しました。1667年には年俸が100ポンドとなったものの、その後エドワード・シーモアの任期中には2,000ポンドにまで引き上げられました。1818年には再び3,000ポンドに達するなど、時代によって変動しました。

廃止

海軍財務長官の役職は、1836年に廃止され、最後の担当者である第4代準男爵サー・ヘンリー・パーネルは、1835年から軍事支払総監を兼任していました。その後、特許状により、海軍財務長官の職務は他の財務関連職務と統合され、海軍財務長官としての役割は歴史の中に消えていきました。

まとめ

海軍財務長官は、イギリス海軍における財務管理の中核を担っており、その重要性は時代とともに高まりました。彼の役割は、単なる支出の管理にとどまらず、海軍の運営全般に影響を与えるものであり、実質的な権力者として展開されました。海軍財務長官の歴史からは、海軍の発展や官僚制度の変遷を読み取ることができます。

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