軍事支払総監

軍事支払総監について

軍事支払総監（Paymaster of the Forces）は、イギリス陸軍における非常に重要な官職であり、1661年の設立以来、陸軍の財務を担当してきました。この役職の登場は、イングランド共和国期までさかのぼり、当時は戦争ごとに特別な会計官が任命される慣習がありました。しかし、1661年以降は常設の役職として制度化され、財務の安定性を確保しました。

患者の選任は国璽を伴う特許状によって行われます。軍事支払総監は陸軍の銀行家とも位置付けられ、議会から承認された支出を基に財務省から資金を受け取り、さらに古い軍需品の売却などで資金を調達しました。調達した資金は、国王の認可状や財務省の認可状に基づいて一般支出及び特別支出に振り分けられ、これらは総監本人または彼が任命した副官によって支払われます。

この職務にある者は日々扱う公金に責任を持ち、退任するまでの間は不足分を私財から補填する義務があります。興味深いことに、領収書が発行されない場合には、総監が死亡した際にもその相続人が同様の責任を負うことになります。領収書の発行には財務監査が必要ですが、簿記の複雑さから会計監査に時間がかかり、1769年には既に多くの監査が遅れている状態でした。例えば、ヘンリー・フォックスの在任期間においても会計監査が完了したのは遅いもので、続く時代においても会計監査の遅れは当時の政府の厳しい課題でした。

歴代の軍事支払総監は、1682年に初代ラネラ伯爵リチャード・ジョーンズが枢密顧問官に任命されて以来、すべての就任者がこの役職に就任することになりました。18世紀以降、政権交代に伴う人事異動が一般的となり、軍事支払総監は政治的な任用職として知られるようになります。このような背景から、この役職は時折非常に収入が多い職務として扱われてきました。

賃金面では、1661年から1680年にかけて年俸は400ポンドであり、1702年から1707年までの日給は10シリングでした。この他の時期には日給20シリングでの支払いが行われていました。1676年、務めるサー・スティーブン・フォックスのもと、チャリング・クロスで事務所が設けられ、官邸の増築が行われました。この建物は後に1732年/1733年に改築されましたが、1836年には既に使用されていなかったため、歴代軍事支払総監の中でどれだけの人がこの官邸を利用したかは不明です。

軍事支払総監の歴史における最終任者は第4代準男爵サー・ヘンリー・パーネルで、彼は1835年から海軍財務長官の職も兼任していました。1836年12月には、特許状に基づき軍事支払総監、海軍財務長官を含む複数の職務が支払総監に統合され、パーネルはその地位へ移ることとなりました。

海外担当軍事支払総監

スペイン継承戦争の際には、1702年から1714年にかけて「海外担当軍事支払総監」という役職も設置され、軍事支払総監とは独立して任命されていました。主に海外派遣されたイギリス陸軍への賃金支払いを担当し、この役職の給与は軍事支払総監と同様に日給10シリングでした。これにより、イギリスの軍事運営が円滑に行えるような体制が整っていたと言えます。

このように、軍事支払総監はイギリス陸軍の財政管理に寄与し、近代に至るまでの陸軍の組織運営に重要な役割を果たしてきたのです。

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