消えた乗組員

消えた乗組員

西村京太郎の長編推理小説『消えた乗組員』は、1976年に光文社から刊行された十津川警部シリーズの第5作。日本推理作家協会賞長編部門にノミネートされた作品です。

概要

本作は、海洋ミステリーとして、クルーザーから乗組員が失踪する事件を扱っています。過去の未解決事件であるマリー・セレスト号の乗組員消失事件と重ね合わせ、その謎に十津川警部が挑むというストーリーです。

あらすじ

外洋ヨット「シャークI世号」は、小笠原諸島の母島付近で、漂流している大型クルーザー「アベンジャーII世号」を発見します。アベンジャーII世号は、海洋研究家の細見が「魔の海」の実在を証明するために小笠原沖を調査する目的で出発し、消息を絶っていました。

シャークI世号の乗組員がアベンジャーII世号に乗り込むと、乗組員は全員消えており、手つかずの朝食が残されていました。それはまるで、マリー・セレスト号事件のようでした。

事件の真相を解明するため海難審判が開かれることになりますが、調査官の永田が殺害されます。さらに、岡部も自宅で死亡しているのが発見され、十津川警部は連続殺人事件として捜査を開始します。

海難審判の第1回目には、シャークI世号の乗組員である野村が出廷しません。十津川警部は、野村が恋人と能登半島に向かったことを突き止めますが、2人はすでに殺害されていました。

登場人物

十津川省三：警視庁捜査一課の警部。本作の主人公。
亀井定雄：十津川の部下。
細見竜太郎：アベンジャーII世号のオーナー。海洋研究家。
細見伸子：竜太郎の妻。
吉村昭之：科学評論家。細見の意見に反対する。
永田史郎：シャークI世号の艇長。
岡部孝夫：シャークI世号のコック長。
野村英雄：シャークI世号の乗組員。
風見美津子：野村の恋人。

特徴

海洋ミステリーとしての魅力

本作は、広大な海を舞台にしたミステリーであり、ロマンとスリルに満ちています。クルーザーやヨットなどの描写も詳細で、読者はあたかも自分が海の上にいるかのような感覚を味わえます。

過去の事件との関連性

マリー・セレスト号事件という有名な未解決事件を絡めることで、物語に深みを与えています。読者は、過去の事件と現在の事件との関係性を考えながら、推理を楽しむことができます。

意外な展開

物語は、二転三転する展開で読者を飽きさせません。意外な人物が犯人であったり、予想外の動機が明らかになったりと、最後まで目が離せない展開が続きます。

まとめ

『消えた乗組員』は、海洋ミステリーとしての魅力と、過去の事件との関連性、そして意外な展開が組み合わさった、西村京太郎の代表作の一つです。ぜひ、手に取って読んでみてください。

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