消えた巨人軍

消えた巨人軍

『消えた巨人軍』は、西村京太郎が1976年に発表した推理小説です。1978年には日本テレビでドラマ化もされました。

あらすじ

1976年、セ・リーグのペナントレースは佳境を迎えていました。前年最下位に沈んだ読売ジャイアンツ（巨人軍）は、長嶋茂雄監督の下、宿敵・阪神タイガースと優勝を争っていました。甲子園での3連戦を前に、巨人軍の選手たちは東京駅から新幹線「ひかり」号に乗り込みました。しかし翌朝、選手たちが旅館に到着していないことが判明します。一体、彼らはどこへ消えてしまったのでしょうか？

球団は警察に内密な捜査を依頼すると同時に、私立探偵・左文字進にも協力を要請します。左文字は球団秘書と共に捜査を開始しますが、時間との戦いでした。巨人対阪神の3連戦の初戦まで、刻一刻と時間が迫っていたのです。

設定・テーマ

本作は、1976年のプロ野球ペナントレースを舞台に、実在の人物が誘拐されるという斬新な設定が話題となりました。誘拐される巨人軍の選手たちは、王貞治、張本勲、高田繁といった当時のスター選手たちです。彼らが誘拐されるという異常事態に、世間は大きな衝撃を受けました。

物語は、誘拐事件の謎を解き明かすだけでなく、当時のプロ野球界が抱える問題点にも鋭く切り込んでいます。高額な契約金、選手のプライバシー侵害、球団とマスコミの関係など、現代にも通じるテーマが盛り込まれています。

テレビドラマ

1978年には、藤岡弘主演でテレビドラマ化されました。原作の設定を一部変更し、左文字進はアメリカ帰りのハーフ探偵から、矢部警部の部下である日本人の刑事に変更されています。また、左文字の妻である史子も、読売巨人軍の会長秘書から矢部警部の次女に変更され、よりコミカルなキャラクターとして描かれています。

ドラマでは、当時の人気俳優たちが多数出演し、原作とは異なる魅力的なストーリーが展開されました。特に、巨人ファンである矢部警部のキャラクターは、多くの視聴者の共感を呼びました。

キャスト

左文字進：藤岡弘
左文字史子：水沢アキ
矢部精三：大坂志郎
長谷川球団代表：岡田英次
張江広報課長：山田吾一
井沢記者：大和田伸也
矢部香苗：赤座美代子
矢部恒：森川誠
入江高具：西村晃
生田敬四郎：平泉征

スタッフ

制作：小坂敬（NTV）
プロデューサー：大久保豊（NTV）、福湯通夫（東映）、武居勝彦（東映）
脚本：松木ひろし
音楽：市川秀男
監督：野田幸男
製作：東映

関連作品

* 消えたなでしこ：西村京太郎による、なでしこジャパンの誘拐事件を描いた作品。

『消えた巨人軍』は、プロ野球ファンだけでなく、ミステリーファンも楽しめる作品です。大胆なストーリー展開と、当時の世相を反映した社会派的なテーマは、今も色褪せることなく、多くの読者を魅了し続けています。

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