淀城

淀城の概要と歴史

淀城（よどじょう）は、今の京都府京都市伏見区淀本町に位置していた山城国の城です。現在も本丸の石垣や堀の一部が遺されています。この城は、江戸時代には久松松平家や戸田氏、稲葉氏などの大名によって居城として利用されました。

歴史的背景

淀は古代には「与渡津」と称され、様々な貢納物や海産物、塩が集まる商業地として知られていました。また、河内国や摂津国、大和国から山城国・京洛への重要な交通路でもありました。

淀城は、安土桃山時代に豊臣秀吉の命によって築かれました。彼は、側室である茶々との子供を育てるためにこの城を建立しました。当初、淀城は現在の位置から500メートルほど北にあり、鶴松の死後に豊臣秀次が謀反の疑いをかけられ、その際に廃城となりました。

江戸時代には、徳川氏が淀城を再築し、松平定綱が初代城主として迎えられました。1633年には永井尚政がその後を引き継ぎ、城下町の拡張が行われ、新たな町が形成されました。さらに、いくつかの名家が城主として続く中、1731年には稲葉氏が城主に任命されます。稲葉氏は幕末期までここに居住しました。

城の構造と特徴

淀城は、三川の合流地に建設されており、その城下町は淀三町と呼ばれました。縄張りは、中心に本丸と二の丸を配置した「回」字形を持ち、西の丸や三の丸、さらに馬出曲輪などが防衛の役割を果たしていました。築城には当時の先進的なヨーロッパの技術が導入されたとされ、堀や門の設計にも工夫が施されています。

また、この城には大型の水車が2基設置されており、周囲の環境を生かして水を取り入れていました。淀の人々には歌われるほどに親しまれた水車は、この地域のシンボル的存在となっていました。

幕末の情勢と淀城の運命

幕末に入り、旧幕府軍は淀城を拠点として戦おうとしましたが、淀藩に拒まれました。春の鳥羽・伏見の戦いでは、淀城が官軍にとって重要な役割を果たし、その結果、城下町や一部の城内が焼失するなどの悲劇も経験しました。

廃藩置県に伴い、淀城は早々に廃城となり、周辺の地形も大きく変わりました。特に、巨椋池の干拓によって地形が変化し、本丸の一部分を残すのみでほとんどが消失しました。しかし、近年になって保存運動が高まり、石垣や堀が整備され、淀城跡公園として整備されています。

昨今の展開

2022年には、京都競馬場内で城跡の発見があり、城に関する貴重な資料が持ち込まれました。この発見により、淀城が持つ歴史的価値が再評価されています。

交通アクセス

公共交通機関では京阪電気鉄道京阪本線の淀駅から徒歩4分の距離に位置しています。自動車では久御山淀ICからのアクセスが便利です。

淀城は歴史的な背景と美しい構造を持つ日本の城として、今もなお多くの人々の関心を集め続けています。

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