淡水エイ:魅惑の水中生物とその飼育
神秘的な姿で人気を集める
淡水エイ。南米アマゾン川流域を中心に、
東南アジアなどにも生息しています。本記事では、その種類、飼育方法、そして安全に取り扱うための知識を網羅的に解説します。
淡水エイは、アマゾンタンスイ
エイ科、アカ
エイ科など複数の科にまたがり、多様な種類が存在します。中でもアマゾンタンスイ
エイ科は、その独特の形状と色彩バリエーションの豊富さから、
観賞魚として高い人気を誇ります。
アマゾンタンスイエイ科の代表種
ポタモトリゴン・ヒストリクス(アマゾンタンスイエイ):古くから知られるポピュラー種で、比較的安価に入手できますが、輸送時のストレスや飼育環境の不足により、飼育に高いスキルが要求されます。
ポタモトリゴン・レオポルディ(ポルカドット・スティングレイ):黒い体に白い斑点を持つ美しい
エイ。丈夫で飼育が比較的容易なことから、入門種として推奨されています。近年は、
ブラジルの原産地からの
輸入減少に伴い、
東南アジアなどでのブリード個体の流通が増加傾向にあります。
マンチャデオーロ(Bigtooth river stingray):ポルカドットよりも細かい斑点を持つ人気種。ブラジルのトカンチンス川やアラグアイア川流域に生息し、バリエーションも豊富です。
ポタモトリゴン・モトロ(Ocellate river stingray):オレンジ色の斑点を持つ、古くから親しまれる代表種。丈夫で飼育が容易なため、入門種として人気がありますが、
ブラジル政府の政策により、
ブラジルからの
輸入量は減少しています。
マユゲエイ:目の上に太いラインを持つ、独特の模様が特徴。体色や模様のバリエーションがあり、飼育は難しいとされています。
アハイア・グランディ(Short-tailed river stingray):大型種で、自然界では体盤長2メートルを超える個体も存在します。日本への
輸入は少ないです。
プレシオトリゴン・イワマエ(Long-tailed river stingray):非常に長い尾を持つ小型種。飼育は難しいとされています。
ヒマンチュラ・チャオプラヤ(Giant freshwater stingray):淡水エイ最大級の種類で、タイでは「プラークラベーン」と呼ばれています。
突然変異個体
まれに、体盤の一部が欠損した個体が発見され、「
バットマン・スティングレイ」などと呼ばれ、愛好家の間では高値で取引されています。
水槽
120×60×45センチメートル以上の水槽が必要です。底砂を敷くことで
エイのストレスを軽減できますが、メンテナンスの容易さからベアタンクも選択肢となります。強力な濾過装置は必須です。
餌
基本的に生き餌を好みますが、人工飼料も摂取します。栄養価や衛生面を考慮すると、人工飼料が優れています。
繁殖
雌雄の判別が容易で、ペアを揃えれば比較的容易に繁殖させることができます。卵胎生のため、ある程度成長した稚魚が生まれてきます。
安全な取り扱いと注意点
淡水エイの尾には毒棘があり、刺されると激しい痛みや、場合によっては呼吸困難や痙攣を引き起こす可能性があります。素手で扱うことは避け、棘にチューブを被せたり、棘を切断するなどの安全対策が必要です。棘は切断後も再生します。刺された場合は、40℃程度の熱いお湯や食塩水で患部を熱分解し、速やかに医療機関を受診してください。
参考文献
* Family Potamotrygonidae - River stingrays -- FishBase