淡道国造

淡道国造について

淡道国造（あわじのくにのみやつこ、またはあわじこくぞう）は、古代に淡道国を支配したとされる地方豪族です。ここでは、その概要、祖先、氏族、本拠地、支配領域、そして系譜について詳しく解説します。

概要

淡道国造は、現在の兵庫県淡路島にあたる地域を支配していました。この地域は、古代において重要な役割を果たしていたと考えられています。

祖先

『先代旧事本紀』の「国造本紀」によると、淡道国造の祖先は、仁徳天皇の時代に神皇産霊尊の9世孫である矢口足尼が任命されたとされています。この記述から、淡道国造の家系が古代の有力な氏族に繋がっていたことが伺えます。

氏族

淡道国造は、波多門部氏（はたのかどべうじ）という氏族に属していました。姓は「造」であり、久米氏の出身とされています。同族には、大伯国造、天草国造、久味国造、吉備中県国造、阿武国造などがおり、これらの国造たちとの繋がりも深く、古代における有力な氏族であったことがわかります。

『新撰姓氏録』には、右京神別に「神魂十三世孫意冨支閇公」が波多門部造の祖と記されています。これらの記録からも、波多門部氏が神話時代から続く由緒ある氏族であったことが窺えます。

本拠地と支配領域

淡道国造の支配領域は、当時の淡道国、すなわち後の令制国の淡路国、現在の兵庫県淡路島に相当します。淡路島は、神話において最初に生まれた島とされており、その地名には興味深い由来があります。

『日本書紀』によれば、伊弉諾命が島の誕生を不快に思い、「淡路洲」と名付けたとしています。一方、『釈日本紀』では、この島があまりにも小さかったため、深く恥じて「吾恥」と名付けたと解釈しています。本居宣長は『古事記伝』において、阿波へ渡る海原にある島であることから、そう呼ばれるようになったとしましたが、国生みの順番や淡路島の地勢を考慮していないという指摘もあります。

淡路島は古くからヤマト王権との結びつきが強く、伝承では、食物を献上する御食国であったとされています。このことから、淡路島が古代の日本において重要な役割を担っていたことがわかります。

系譜

淡道国造の系譜については、詳しい記録は少ないものの、その祖先が神皇産霊尊に遡る由緒ある家系であったことは確かです。波多門部氏という氏族を通じて、他の国造との繋がりも確認されています。

まとめ

淡道国造は、古代の淡路島を支配した有力な地方豪族であり、その歴史は神話時代からヤマト王権の時代まで深く関わっています。氏族や支配領域、地名の由来からも、古代の日本社会における重要な存在であったことが窺えます。

参考文献

* 加藤謙吉 他・編『日本古代史地名事典』 雄山閣、2007年、ISBN 978-4-639-01995-4、728頁

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