深坂溜池

深坂溜池（みさかためいけ）

深坂溜池は、山口県下関市安岡、大字蒲生野字深坂に位置する美しい溜池です。満水時には面積13ヘクタール、水深22.6メートル、貯水量124万8000立方メートルという規模を誇ります。2010年3月25日には、農林水産省の「ため池百選」に選定されました。

概要

深坂溜池は、二級河川である友田川の本流上流部に堰堤を築いて造られました。その歴史は古く、1913年（大正2年）に「安岡耕地整理組合」が設立され、1918年（大正7年）に着工しました。工事は難航し、1921年（大正10年）には大雨による堰堤の決壊という困難にも見舞われました。しかし、延べ13万人もの人手と、現在の工事費に換算すると30億円以上を要する大工事の末、1924年（大正13年）に完成しました。

特筆すべきは、円筒分水を用いた分水計画が立てられたことです。これは、溜池から水を公平に分配するための工夫であり、当時の技術力の高さを示しています。現在も、下流の530戸の水田や、特産品である安岡ネギの畑300ヘクタールを潤す灌漑用水として、重要な役割を果たしています。深坂溜池は、歴史ある最大級のアースダムとして、地域農業を支え続けています。

深坂自然の森

溜池の周辺は「深坂自然の森公園」として整備されており、豊かな自然を満喫できます。湖畔には美しいサクラが植えられ、春には見事な景観が広がります。また、堤体下流には白鳥をかたどったツツジが植樹され、訪れる人々を楽しませてくれます。

深坂自然の森は、小中学校の環境学習の場としても活用されています。子供たちは、この場所で自然観察や環境問題について学びます。また、湖畔はウォーキングコースとして整備されており、多くの人々が散策を楽しんでいます。深坂溜池は、鋤先山、竜王山登山のベースキャンプ地としても利用されています。

池には希少種を含む多種多様な昆虫類が生息しており、カエルやイモリなどの両生類も多く見られます。下関市は、この地域を「下関環境総合計画」に基づき鳥獣保護区に指定するなど、生態系の保全活動に力を入れています。深坂溜池は、豊かな自然と多様な生態系が共存する貴重な場所です。

アクセス

道路

中国自動車道下関ICを下車
山口県道244号下関川棚線 済生会下関総合病院付近を分岐して内日、菊川町方面へ

公共交通機関

新下関駅

関連項目

下関市
ため池百選
竜王山

外部リンク

ため池百選
深坂ダム【ダム便覧】

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