深町錬太郎

深町錬太郎は、1871年（明治4年）に加賀藩士の長男として生まれ、1918年（大正7年）に47歳で亡くなった、明治後期から大正前期にかけての官僚です。最終階級は官選の愛媛県知事でした。

生い立ちと学歴

深町錬太郎は、加賀国金沢下高儀町（現在の石川県金沢市）で、加賀藩士であった深町鉄五郎の長男として生を受けました。幼少期から優秀で、第四高等学校を首席で卒業し、1896年（明治29年）には東京帝国大学法科大学政治学科を卒業しました。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、深町は逓信省に入省し、通信局に配属されました。同年12月には、文官高等試験行政科試験に合格しています。1897年（明治30年）には逓信事務官となり、その後、通信事務官として鹿児島、大阪、札幌の各郵便電信局に勤務しました。1899年（明治32年）には内務省に転じ、愛知県、茨城県、栃木県、新潟県の各県で事務官や内務部長を歴任しました。

愛媛県知事時代

1912年（大正元年）12月30日、第3次桂内閣によって愛媛県知事に任命されました。知事としては、松山中学校の移転問題の解決や、前任者から引き継いだ治水事業計画を20年間の継続事業として策定し、着手するなど実績をあげました。しかし、県会や農民に対しては高圧的な態度で臨んだため、県会で弾劾決議案が可決されたり、産米検査の強行が農民の反対運動を激化させたりするなど、県政運営においては批判も多くありました。

退官と晩年

1916年（大正5年）4月28日、深町は病気のため知事を休職し、1917年（大正6年）4月21日には依願免本官となり、退官しました。退官後の1918年（大正7年）6月28日には、加賀製紙の監査役に選任されましたが、同年9月25日に現職のままこの世を去りました。

栄典

1897年（明治30年）11月30日、従七位に叙せられています。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 愛媛県史編さん委員会編『愛媛県史 人物』愛媛県、1989年。

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