淺田正博

淺田 正博

淺田 正博（あさだ まさひろ）氏は、1945年10月25日に大阪府に生まれ、浄土真宗の教えに深く帰依する僧侶であると同時に、長年にわたり仏教学の研究と教育に貢献してきた著名な学者です。

仏道を志し、法名を恵真と授けられました。学問の道では、龍谷大学大学院にて仏教学専攻の博士課程を単位取得退学後、その知識と情熱を教育の現場で活かしていきます。初期には、叡山学院をはじめ、京都橘女子大学や京都精華大学、行信教校といった様々な教育機関で講師を務め、また大倉精神文化研究所では研究員として研鑽を積みました。これらの経験は、その後の広範な研究活動の基礎となりました。

1983年、母校である龍谷大学文学部の専任講師に就任したことを皮切りに、本格的な大学でのキャリアをスタートさせます。その後、1985年には助教授、そして1991年には教授へと昇進し、大学における教育・研究活動の中心を担う存在となりました。この間、短期大学部長も兼任し、大学運営にも深く関わっています。長年の研究活動の集大成として、2003年には「伝教大師最澄の研究 宗派意識の推移から見た最澄教学の展開」と題する論文を発表し、龍谷大学より文学博士号を授与されました。これは、日本仏教史における重要な人物である最澄に関する深い洞察を示すものです。2014年に龍谷大学を定年退任し、名誉教授の称号を授与されました。

仏教学者としての専門分野は多岐にわたりますが、特に伝教大師最澄の研究は、その博士論文のテーマとなるなど、ライフワークの一つと言えます。また、日本の霊山信仰や山岳仏教と結びついた修験道についても深い知見を持ち、その教義や世界観に関する著作も発表しています。こうした研究活動を通じて、仏教の歴史や思想を多角的に解明し、その現代的な意義を問い続けてきました。

学術的な活動に加え、淺田氏は浄土真宗本願寺派の僧侶として、大阪府にある因念寺の住職を務めています。宗派内においても、本願寺派の教学を司る最高位の一つである「勧学」の任に就き、宗門の教義研究や布教活動における指導的な役割を果たしています。学問と信仰生活の双方を深く追求することで、仏教の智慧を世に伝えようと尽力しています。

その思想は、多くの著書にまとめられています。修験道に関する専門的な著作から、仏教の教えを平易な言葉で語る講話集、現代社会が抱える生命倫理の問題に仏教の視点から向き合うものまで、幅広い読者層に向けた作品を発表しています。主な著書としては以下のようなものがあります。

『仏教からみた修験の世界 『修験三十三通記』を読む 修験道教義入門』(国書刊行会、2000年)
『生かされる命を見つめて 講話集』(永田文昌堂、2003年)
『私の歩んだ仏の道』(本願寺出版社、2005年)
『生かされて生きる どうして人を殺してはいけないのですか?』(龍谷大学文学部仏教学科監修、探究社、2013年)

また、共著や編著にも携わっており、親鸞聖人に関する入門書や、仏教の戒律についての小辞典の編纂なども行っています。論文も多数発表しており、その研究業績は仏教学の発展に大きく貢献しています。

龍谷大学名誉教授、本願寺派勧学として、淺田正博氏は現在も仏教研究と布教の最前線で活動し、その豊かな学識と経験をもって多くの人々に仏教の道を示しています。

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