清原貞雄

清原貞雄の生涯と業績

清原貞雄（きよはら さだお、1885年1月10日 - 1964年9月13日）は、広島文理科大学の教授として、日本の歴史学界に名を馳せた歴史学者である。主に神道史や国体論史をテーマに、多岐にわたる研究を行った。彼の業績は、日本思想や文化の形成に深く関わっており、その影響は現在に至るまで続いている。

経歴

清原は1885年に大分県速見郡南杵築村（現・杵築市）に生まれた。彼は京都帝国大学の文学部史学科で学び、1910年に卒業後、大学院に進学した。清原は、大学図書館の司書や内務省神社局の嘱託を経て、日本大学で講師を務めた。1922年からは広島高等師範学校で教授として教育に従事し、その後、1929年には広島文理科大学へと改組された同校においても教授を務めた。

学位論文『徳川幕府神社制度ノ研究』を通じて、1926年に文学博士の学位を取得した清原は、その後の研究活動を通して神道の体系的な理解と研究を深めていったが、1943年には筆禍事件により広島文理科大学を辞職し、戦後は故郷の大分県に戻った。1952年からは大分県史料刊行会において『大分県史』の監修も行った。

学問と業績

清原の研究対象は神道史を中心に、道徳史や思想史、文化史など多岐にわたる。戦後には古文書学にも目を向け、研究を広げていった。彼は戦前の日本において、「日本主義的」な立場を取りながらも客観的かつ批判的な視点を持っていた。そのため、戦争末期の筆禍事件によって大学教授を辞職せざるを得なくなった。

主な著作

1919年に発表した『神道沿革史論』は、当時の神道学の分野において初の神道思想史に関する概説書とされ、その後、1932年に改訂版『神道史』として再出版された。この書籍は、神道学を志す者にとって必読の書として広く認知され、多くの反響を呼んだ。

また、1921年に内務省神社局が刊行した『国体論史』も彼の代表的な著作の一つである。在任中に編纂したこの作品は、先哲たちの国体に関する論文を中心に構成されているが、巻末には清原の持論が展開されている。この部分では、神話をもとにした国体の尊厳の危険性や、憲法学における天皇機関説と天皇主権説の対立について鋭く批判し、特に天皇機関説を擁護する姿勢を見せた。

しかし、やがて天皇機関説事件による抹殺に直面し、同著を改訂して1939年に新たに出版。余論を削除し、現在の状況下での天皇機関説の批判を避ける形に変更した。

清原の戦前期には46冊以上の著書が存在するが、戦後の占領下ではいくつかの書籍がGHQによって没収されたこともある。彼は自己評価に対して控えめで、「恥ずかしくてならない」と述べ、著作の多さについて苦々しい思いを口にしたというエピソードも知られている。

参考文献

• - 『文藝年鑑2600年』
• - 大分県地方史研究会『大分縣地方史』清原博士追悼号, 1965年2月
• - 渡辺澄夫「清原貞雄博士の生涯と実績」『大分縣地方史』第36-37巻、大分県地方史研究会、1965年
• - 中野幡能「清原貞雄博士をしのぶ」『大分縣地方史』第36-37巻、大分県地方史研究会、1965年
• - 立川輝信「故清原貞雄先生の思い出」『大分縣地方史』第36-37巻、大分県地方史研究会、1965年

このように、清原貞雄の業績は多岐にわたりますが、日本の歴史と文化を理解するための重要な手助けとなっています。

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