清国海軍

清国海軍の歴史

清国海軍、または清朝海軍は、1616年から1912年まで続いた中国清朝の海軍組織です。その歴史は、清朝の崩壊と共に終焉を迎えましたが、その設立についての見解は中国の文献によってさまざまです。主に1651年、1863年、1866年の三つの重要な年に分けられます。

緑営水師の成立（1651年）

清朝が中国沿岸を支配した1651年、江南、浙江、福建、広東の四つの水師が編成され、沿岸の防衛や治安維持が行われました。しかし1683年、台湾の明朝残党が降伏した後、清朝の海に対する関心は薄れ、海外との交流が制約されました。この時期、日本も鎖国政策を採っていたため、海賊の活動も次第に減少しました。

18世紀末から19世紀初頭にかけて、隣国ベトナムの乱が広東に影響を及ぼし、海賊が頻出するようになります。清朝は治安維持に軍事力を全面的に使用することは避け、元海賊を含む広東水師の編成を選びました。しかしベトナムの状況が安定すると、再び沿岸には平和が訪れました。これにより、緑営水師は近代化されないまま西洋の近代海軍と衝突する事態を招くことになりました。

アヘン戦争（1840-1842）では、緑営水師の装備は岡天培が指揮する600隻近い軍艦と沿岸砲台からなり、古臭い装備は近代海軍には通用しませんでした。しかし、この緑営水師の人員は後に近代化された四水師の基盤となりました。アヘン戦争後、清朝は香港を失い、五つの港を開港することとなります。日清戦争の影響で清朝海軍は新たな近代的水師の整備が急務となります。

オズボーン水師の設立（1863年）

1863年には恭親王の命令で清朝初の近代海軍であるオズボーン水師が設立され、英国海軍の協力を得て運用されました。艦艇はイギリスから調達され、約600名の乗員を擁し、オズボーン大佐の指揮の下で編成されました。しかし、清朝の督撫たちはオズボーンの指揮下に入ることを好まなかったため、1863年には解散を決定しました。この艦隊の一部は後に日本の薩摩藩に引き継がれた経緯があります。

近代四水師の発展（1866年-1870年代）

1860年代後半、オズボーン水師への批判を受けた清朝は、左宗棠や李鴻章らが海軍の再建を始め、最終的に四水師に再編成されました。各水師は清朝皇帝に服従しつつも、地方の督撫が強い権限を持つという軍閥的な要素も見え隠れしていました。これにより、三つの水師が連携して部隊を編成することはありませんでしたが、各地で防衛任務を行い、艦艇の建造も進められました。

日清戦争とその影響（1884年-1894年）

1880年代以降、清国海軍は西洋列国と同等の戦力を確保するに至りますが、外部との利害関係と地方勢力の影響で戦時における艦艇の運用には消耗を避ける方針が常に付きまといました。結果的に、清仏戦争や日清戦争では相次いで敗北を喫し、特に日清戦争では北洋水師が壊滅的な被害を受け、四水師体制は崩壊の危機に見舞われました。

再編成と近代化（1896年-辛亥革命）

日清戦争後、北洋水師の残存艦艇は再び集結することとなり、1905年には統合が決定され、中国沿岸の防衛が一元化されました。辛亥革命時には、多くの艦が革命側について戦闘には関与せず、清国海軍はほぼ中華民国の海軍として移行しました。

付記：命名規則と外国との関係

清国海軍の艦艇は、通常は抽象名詞から名付けられ、特に外国製の艦艇が多く見られます。イギリス製が最も多く存在し、ドイツ製、フランス製艦艇はほとんど見られません。こうした清国海軍の特徴は、近代日本海軍との対比で際立っており、時折国際問題に発展しました。清国海軍の歴史を振り返ることで、近代化の困難と、大国の圧力にどう対抗したかという不屈の物語が見えてきます。

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