清書

清書とは

清書（せいしょ）とは、原著作者が書いた手書きの原稿を、より読みやすいように書き写す作業のことです。浄書（じょうしょ）とも呼ばれます。具体的には、誤字脱字の修正、略字や癖字の修正、文字のはみ出しなどを修正し、誰にとっても読みやすい文章にすることが目的です。

清書の歴史

ワープロ普及以前

かつて、ワープロや和文タイプライターが普及する前は、清書は「字を丁寧に書き直すこと」を意味していました。しかし、欧米では、使われる文字の関係から、タイプライターで打ち直す行為も清書に含まれていました。つまり、手書きの原稿を、より整った書式に書き換えることが、清書の主な目的でした。

現代の清書

現代では、パソコンやワープロソフトの普及、インターネットの発達により、電子媒体で文章をやり取りすることが一般的になりました。そのため、手書きで文章を書く機会は減少し、清書という行為自体も、日常生活ではあまり見られなくなりました。しかし、年賀状や特別な手紙など、手書きが好まれる場面では、丁寧に書き直す清書が行われています。また、電子的な文章においても、誤字脱字を見直す行為を「清書」と呼ぶ人もいます。

職業としての清書

文字の歴史の中で、美しい文字や文章は常に求められてきました。そのため、清書を専門とする職業も存在します。古代エジプトの書記のように、専門家が美しい文字を書く仕事は、現代にも受け継がれています。特に、作曲家が推敲を重ねた楽譜は、修正やメモが多く、演奏の邪魔になるため、楽譜の清書は重要な作業です。ジャン＝ジャック・ルソーのように、他人の楽譜の清書を請け負う作曲家もいました。

筆耕

横断幕や賞状など、手書き文字の需要はまだ存在し、毛筆での書に長けた人は重宝されます。このような需要に対応するために、「筆耕」という職業も存在します。ただし、書道家による清書は芸術的価値を伴うため、単価は高くなる傾向にあります。

清書に関する内職商法

清書を内職として紹介する業者の中には、悪質な商法を行うものも存在します。これらの業者は、仕事を斡旋する名目で高額な手数料を請求したり、不必要な機材を売りつけたりします。契約時には業務手数料や保証料などの名目で費用を負担させ、実際に仕事を始めても、報酬が支払われないケースや、事前負担金を上回る報酬が得られないケースが頻発しています。

内職商法の現状

手書き原稿の清書という需要自体が減少しているため、内職としての清書は成立しにくくなっています。原著作者がパソコンで原稿を作成し、電子メールで編集者に送信することが一般的になったため、清書が必要とされる場面が少なくなりました。また、手書き原稿の場合でも、専属の編集者が清書を行うことが多く、外部に委託されることは稀です。さらに、手書きの原稿は、字が読みにくかったり、原稿用紙の使い方が不適切だったりすると、内容にかかわらず編集者によってボツにされることがあります。これらの理由から、清書内職は成立しづらい状況です。

被害事例と対策

国民生活センターには、清書内職に関する被害相談が多く寄せられています。契約上の報酬が支払われない事例が典型的です。内職商法を行う業者は、業務手数料や保証料を収益源としており、実際に仕事を提供しないケースも報告されています。清書内職は、特定商取引法における業務提供誘引販売取引に該当するため、契約から20日間はクーリングオフが可能です。被害に遭わないためには、早期のクーリングオフが重要です。

まとめ

清書は、手書き原稿を読みやすく整えるための重要な作業でしたが、技術の発展により、その役割は変化しています。現在では、電子媒体での文章作成が主流となり、清書という言葉は、手書きだけでなく、電子的な文章の見直しにも使われることがあります。清書の内職商法には注意が必要であり、契約内容を十分に確認することが大切です。

参考文献

ジョルジュ・ジャン 著、高橋啓 訳『文字の歴史』創元社〈「知の再発見」双書〉、1990年。ISBN 4422210513。

関連項目

カリグラフィー - ラテン[[文字]]などを修飾的に書き直す行為。
校正 - 文字を美しく（見やすく）書き直すのではなく、誤字やレトリックの誤り、構成を修正する行為。
書写

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