清水南山

清水南山の生涯と芸術

清水南山（しみず なんざん）、本名は清水亀蔵（しみず かめぞう）。1875年3月30日、広島県豊田郡能地村（現・三原市幸崎町能地）に生まれました。彼は日本の彫金界において特出した存在であり、その独自な作風と技術で高い評価を受けました。南山は日本画家平山郁夫の祖母の兄でもあります。

彼は広島県出身者として初めて特待生として東京美術学校（現在の東京藝術大学）に入学しました。当初は絵画科に在籍していましたが、後に彫金科に転科し、その道を歩むこととなります。彫金科を卒業後も精力的に学び続け、加納夏雄や海野勝珉の下でさらに技術を磨き、また塑造科では藤田文蔵からも学びました。

卒業後、南山は自身の創作活動を始め、特に彫金技術の第一人者としての名を馳せます。1909年には香川県立工芸学校の教諭に就任しましたが、6年後には退職し、奈良県に移住。この地で法隆寺の古美術を研究し、彼の芸術観を深めていきました。1919年から1945年までの間には母校の東京美術学校の教授を務め、後進の指導に尽力しました。

南山は1934年に帝室技芸員に就任し、1935年には帝国美術院の改革に伴い会員にも選ばれました。このように、彼はその名声と技術をもって多くの重要な役職を担い、彫金界の発展に寄与しました。

南山の制作した作品は、伝統的な技術に根ざした格調の高いものが多くあります。特に「梅花図鍍金印櫃」は彼の代表作として知られています。彼の彫金作品は、金属面を鏨で彫り崩すという高度な技術に基づき、絵画的な文様を施すことで非常に装飾性が高い表現が特徴です。

第二次世界大戦の終結が近づく1945年、南山は東京美術学校を退官し、故郷に疎開しました。終戦を故郷で迎えた彼は、戦後の材料や工具不足の中でも創作活動を続けました。1948年12月7日、結核性腹膜炎を患い、東京の自宅で亡くなりました。享年73歳。

南山の功績は今なお多くの人々に受け継がれ、彼の作品は日本の伝統彫金の重要な礎となっています。彼のアートに対する情熱と独自のスタイルは、彫金に新たな風を吹き込み、後世の作家たちにも影響を与え続けています。

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