加納夏雄

加納夏雄 - 明治時代の金工師

加納夏雄（かのう なつお）は、1828年5月27日に生まれ、1898年2月3日に亡くなった幕末から明治期にかけて活躍した著名な金工師です。京都市で生まれ、刀剣商である養父のもとで育ちました。彼は若い頃から金工作品に対する才能を示し、様々な技術を身につけています。

若き日の修業

彼は7歳で加納治助の養子となり、刀剣の装飾が持つ美しさに強くひかれるようになりました。自然な流れで刀剣に興味を持ち、12歳で彫金師の奥村庄八に師事し、線彫りや象嵌技法を学びます。さらに14歳で絵師の中島来章に師事し、写実的な技術を磨きました。

1846年、19歳の時に金工師としての独立を果たし、安政元年（1854年）には江戸に進出し、神田で店舗を開きました。ここで彼は小柄や鐔などに魂を込める作品を制作し、特に片切彫りという技法で名を馳せました。彼の彫刻は斜めに刀を持った状態で施し、独特の表情を生み出しました。

明治時代の活躍

明治維新後、加納は明治2年（1869年）に皇室に仕えることになり、刀剣好きな明治天皇から太刀飾りを作成するよう命じられました。また、新政府から新貨幣の原型制作も依頼され、彼の作成した試鋳貨幣の完成度の高さに驚いたイギリスの技師からも称賛されました。新貨幣のデザインと型の制作は、加納と門下生に完全に任せられることとなります。

明治5年（1872年）には、明治天皇から直刀に合う拵えの制作を命じられ、これが「水龍剣」と名付けられました。現在、この剣は重要文化財に指定されており、彼の名はさらに高まります。しかし、1863年に発布された廃刀令によって多くの金工師が仕事を失う中、加納は煙草入れや根付などの作品を手がけ、需要が絶えることはありませんでした。

作品と受賞

加納の作品は国内外で非常に高く評価され、彼の名声は広がっていきます。1890年の第3回内国勧業博覧会では、百鶴図花瓶が一等妙技賞を受賞し、その後宮内省に買い上げられました。さらに、その年に東京美術学校の教授に就任し、第1回帝室技芸員にも選ばれました。

彼は明治天皇の命を受けて金具彫刻主任としていくつかの重要な作品を手がけました。1896年に完成させた「沃懸地御紋蒔絵螺鈿太刀拵」と、1903年に山之辺一朝らと共に完成させた「菊蒔絵螺鈿棚」は、明治の三大作として知られています。

主な作品と評価

加納夏雄が手がけた主な作品には、福寿草図小柄、風吹秋草図鐔、富嶽図小柄、そして百鶴図花瓶などがあります。彼の作品は精巧で美しく、金工技術の頂点を極めたものであり、日本の金工史における重要な位置を占めています。彼の功績は多くの人に影響を与え、後世にわたってその技術は受け継がれています。

加納夏雄は明治時代の金工師として、華麗な作品を通じて日本の文化を発展させたことが評価されています。

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