清水緑地

清水緑地（しみずりょくち）

岐阜県岐阜市加納清水町4丁目に位置する清水緑地は、JR岐阜駅前に広がる都市部において、人工的な環境と自然の要素を融合させた空間を創出することを目指して整備された緑地公園です。

歴史的背景と整備

この緑地は、加納地区における総合的なまちづくり支援事業の中でも、特に中心的な取り組みとして位置づけられました。その具体的な計画は、2001年度（平成13年度）に策定された「清水川天満公園プロムナード事業推進協議会整備構想」に基づいて進められました。2001年度から2005年度（平成17年度）にかけて整備工事が行われ、2005年（平成17年）4月17日には完成記念式典が開催され、公園として供用が開始されました。

公園の特色と設計思想

清水緑地の大きな特色の一つは、「都心における緑地の創出」、特に、かつてこの地域を流れる清水川にアユが泳ぎ、ホタルが舞っていたという自然豊かな環境を再生することを目指した点にあります。整備にあたっては、当時近隣公園であった天満公園と、それに隣接する清水川を一体的に捉え、一つの緑地としてデザインされました。

この公園は、JR岐阜駅前という立地が持つ都市性（旧天満公園の要素）と、清水川が古くから育んできた自然環境の復元という、対照的ながらも重要な二つの要素を見事に調和させています。これら異なる要素を「都市空間と自然空間の融合」という形で統合し、岐阜駅前に新たな都市像を具現化した空間と言えるでしょう。

設計プロセスにおいては、地元の人々が語り継ぐ、かつての清水川の豊かな自然や、それに対する人々の思いを形にし、現代に蘇らせることに重点が置かれました。ランドスケープの専門的な知見に基づき、清水川が持つ自然環境の現状と潜在的な可能性を詳細に分析し、その分析結果を計画に反映させています。

また、都市的な側面からの検討も十分にされており、周辺の駅ビルや商業施設との連携、そして周辺地域の居住環境の向上にも寄与するよう配慮されています。季節ごとの祭りなどのイベント空間としても活用できるよう考慮されており、駅利用者や地域住民が水辺に親しみ、心安らぐ憩いの空間として整備されています。

さらに、公園の管理運営においても特色があります。市民と行政が協力して緑地の維持管理や育成を進め、特にホタルの自然繁殖を目指す区域を設定するなど、環境教育の側面からも重要な役割を果たしています。生き物の営みを間近に感じられる場を提供することで、自然への理解を深める機会を創出しています。

清水川沿いには、美しい桜並木が広がっており、春には多くの花見客で賑わいます。約220本にも及ぶ桜が植えられており、ソメイヨシノ、オオシマザクラ、ヒガンザクラ、コヒガンザクラ、カンザクラ、ギョイコウ、ヤマザクラなど、多品種の桜が楽しめることも、この緑地の大きな魅力の一つとなっています。

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