清水谷実英

清水谷実英：華族と軍人の生涯

清水谷実英(1866年-1938年)は、明治から昭和初期にかけて活躍した陸軍軍人であり、華族であった人物です。最終階級は陸軍歩兵中佐に上り詰め、伯爵の称号を有していました。

京都で侍従・清水谷公考の長男として生まれた清水谷実英は、父の後を継ぎ、1883年に家督を相続します。翌年には華族令の公布に伴い、伯爵に叙せられました。その後、陸軍士官学校(旧11期)に進学し、1889年には陸軍歩兵少尉に任官。軍人としての道を歩み始めます。

軍務においては、東宮武官(大尉時代)を務めるなど、要職を歴任しました。歩兵第3連隊、近衛歩兵第2連隊などでの勤務経験を持ち、日清戦争と日露戦争にも従軍しています。これらの戦線での経験が、彼の軍人としてのキャリアに大きな影響を与えたことは想像に難くありません。階級は歩兵中佐まで昇進しました。

軍における活躍だけでなく、宮中での役割も重要な部分を占めていました。1928年には、即位礼に関連して掌典次長に臨時で任命されています。同年、退官するまで、宮中顧問官や侍従などの要職を歴任しました。これは、彼が高い社会的地位と信頼を得ていたことの証左と言えるでしょう。

1938年に71歳で亡くなった清水谷実英の死後、家督は息子の公揖が継承しました。

彼の功績は、軍人としての経歴だけでなく、華族としての地位と宮中での役割を合わせ持つ、独特な人生を歩んだ人物であったという点にあります。日清戦争、日露戦争といった激動の時代に身を置きながら、宮廷にも深く関与したその生涯は、明治・大正・昭和という激動期を生き抜いた一人の貴族・軍人の姿を鮮やかに描き出しています。

栄典

明治27年'>[1894年]6月30日：従四位
[1915年]12月1日：勲三等旭日中綬章

親族

詳細な親族関係については、『平成新修旧華族家系大成』上巻(pp.753-754)を参照ください。

家族

妻：清水谷秀子(橋本実梁四女)
長男：清水谷公揖(伯爵、掌典)
長女：清水谷英子(はなこ、女官長・権典侍)
次女：橋本正子(橋本実斐夫人)

参考文献

『陸軍現役将校同相当官実役停年名簿：明治36年7月1日調』陸軍省編、陸軍省、1903年
『人事興信録』上巻、人事興信所編（第10版）、人事興信所、1934年
『陸軍士官学校』山崎正男編、秋元書房、1969年
『平成新修旧華族家系大成』上巻、霞会館編、吉川弘文館、1996年
『日本陸海軍総合事典』秦郁彦編（第2版）、東京大学出版会、2005年
『官報』

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