清水金太郎

清水金太郎は、1889年2月1日に東京府で生まれ、1932年4月30日に43歳で亡くなった、明治末期から昭和初期にかけて活躍した声楽家、バリトン歌手です。

日本のオペラ黎明期において、第一線で活躍し、その発展に大きく貢献しました。特に、大正期の浅草オペラでは、田谷力三と並び称されるスターとして名を馳せました。浅草オペラは、当時、大衆的な人気を誇り、清水金太郎は、その中心的な存在として、多くの観客を魅了しました。

1910年、東京音楽学校声楽科を卒業後、1912年2月には帝国劇場で初舞台を踏みました。1911年に創設された帝国劇場の歌劇部では、教師として迎えられ、柴田環（後の三浦環）をはじめとする部員の指導にもあたりました。また、妻である静子も歌劇部の第2期生であり、多くの舞台で共演しています。清水夫妻は、浅草オペラの隆盛を支えた重要な存在でした。

1915年に帝国劇場洋劇部が解散した後、清水夫妻は、ローヤル館、東京歌劇座、七声歌劇団、新星歌舞劇団、根岸歌舞劇団、森歌劇団と、浅草オペラの興行形態の変遷とともに、様々な劇団を渡り歩きました。しかし、その確かな実力と人気は揺るがず、日本オペラ界における重鎮としての地位を確立しました。1925年には、浅草劇場での「オペラの怪人」の上演を最後に浅草オペラは姿を消しましたが、その後も、本格的なオペラの普及に尽力しました。しかし、志半ばで1932年に43歳で亡くなりました。また、「ベアトリス姉ちゃん」「恋のために」「波をけり」など、多くの訳詞も手がけています。

清水金太郎の妻である静子は、ソプラノ歌手として、夫と共に浅草オペラで活躍しました。また、孫には、フルート奏者の赤木りえ、ミュージシャンのACE（元聖飢魔IIのエース清水）がいます。門下生には、「浅草の喜劇王」と呼ばれた喜劇俳優のシミキンこと清水金一がいます。清水金太郎の愛称である「シミキン」は、清水金一に引き継がれました。清水金太郎は、日本のオペラ史において、重要な足跡を残した人物です。

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