清永聡

清永聡氏は、1970年に生まれ、NHK解説委員室の解説主幹を務める日本のジャーナリストです。主に司法、事件、公文書管理、そして災害といった幅広い分野を担当しています。

福岡県に誕生し、幼少期を広島で過ごしました。1993年には広島大学文学部独語科を卒業し、同年、NHKに記者として入局。キャリアの初期には報道局社会部にて、気象庁や司法クラブの取材を担当しました。その後、大分放送局でのニュースデスクを経て再び社会部に戻り、司法クラブキャップや社会部副部長を歴任。これらの経験を通して、現在の解説主幹という要職に至っています。

ジャーナリストとしての活動の中心には、日本の戦中・戦後の司法史への深い探求があります。この分野における長年の取材と研究は、数々の著作として結実しています。中でも特筆すべきは、2008年に発表された『気骨の判決 -東条英機と闘った裁判官-』です。この著作は大きな反響を呼び、テレビドラマ化されるなど、広くその内容が知られるきっかけとなりました。

清永氏は、自らの取材経験から、公的な記録である資料や公文書の適切な管理がいかに重要であるかを一貫して訴えています。また、社会部記者としての経験を活かし、自然災害や防災に関する取材活動にも力を入れています。

2018年には、家庭裁判所の知られざる歴史に光を当てた著書『家庭裁判所物語』を刊行。この作品は、その優れた内容が高く評価され、同年12月に第6回守屋賞を受賞しました。さらに、『家庭裁判所物語』は、2024年度前期に放送されたNHKの連続テレビ小説『虎に翼』のベースとなったことでも注目を集めました。清永氏自身、同書のプロデューサーからドラマ化の相談を受けたことが制作の契機となったことを明かしており、『虎に翼』の制作過程には「取材」という形で深く関わっています。

解説委員として、『時論公論』をはじめとする番組にも出演し、専門分野に関する解説を行っています。

主な著作として、以下のものがあります。

『気骨の判決 -東条英機と闘った裁判官-』（新潮新書、2008年8月）
『戦犯を救え BC級「横浜裁判」秘録』（新潮新書、2015年8月）
『家庭裁判所物語』（日本評論社、2018年9月）
『三淵嘉子と家庭裁判所』（著・編集、日本評論社、2023年12月）
* 『戦時司法の諸相』（矢澤久純との共著、渓水社、2011年10月）

全体として、清永聡氏は、綿密な取材と歴史研究に基づき、司法、事件、公文書管理、災害といった現代社会が直面する重要なテーマについて、ジャーナリストとして、また作家として深い洞察を提供し続けている人物と言えるでしょう。

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