清洲城

清洲城の歴史と現状

清洲城（きよすじょう）は、かつて尾張国春日井郡の現在の愛知県清須市一場に存在した城郭です。この城は尾張国の中心に位置し、重要な交通路である京鎌倉往還や伊勢街道と中山道が交差する地点に位置していたため、戦略的な役割を果たしていました。

建設と歴史の始まり

清洲城の築城は、応永12年（1405年）に尾張・遠江・越前の守護をつとめた斯波義重によって行われたとされていますが、永和元年（1375年）に遡るとも言われています。当初は尾張守護所である下津城の一部として設計されましたが、文明8年（1476年）には下津城が内紛によって焼失し、文明10年（1478年）に守護所が移転して清洲城がその機能を引き継ぎました。その後、織田家が城主となり、特に清洲織田氏がこの城を本拠として尾張下四郡を支配しました。

織田信長と清洲城

後に織田信秀が清洲城を拠点にしましたが、その後信長が那古野城に移転し、弘治元年（1555年）には信長の支援を受けた織田信光によって信友が暗殺され、信長自らが清洲城の大改修を行いました。この城は信長の主要な居城となり、彼はここから桶狭間の戦いに出陣したことで有名です。また、1562年に信長と徳川家康との間で同盟が結ばれたのもこの城での出来事です。

その後、信長は小牧山城に移り、清洲城は番城としての役割を果たすことになります。1582年に信長が本能寺で亡くなると、清洲城で清洲会議が開かれ、信長の次男である織田信雄が城の相続を受けました。

豊臣政権とその後

信雄は城の改修を行い、二重の堀や天守を整備しましたが、やがて豊臣秀吉の命令により信雄は除封され、他の武将の居城となりました。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、東軍の後方拠点として利用され、その後、家康の四男松平忠吉が入城しました。忠吉の死後は、家康の九男徳川義直が入城し、清洲藩の本拠地となりました。

名古屋への遷都と廃城

1609年、家康から名古屋への遷府が命じられ、清須城下町は名古屋城下に移転しました。清洲城も名古屋城の築城に際して資材として用いられ、特に名古屋城の一部に「清須櫓」として残りました。そして1613年に名古屋城が完成することで清洲城は廃城となりました。

現在の清洲城

現在、清洲城跡の大部分は開発によって失われてしまいましたが、東海道本線によって区域が分断され、わずかに本丸の土塁が残るのみとなっています。清洲公園には信長の銅像があり、清洲古城跡公園には城跡顕彰碑が設置されています。また、清洲城跡に隣接して1989年に建設された模擬天守もあり、これは桃山時代の城を再現したデザインとなっています。

一方、清洲城の遺構や関連する文化財は、名古屋市や愛知県に散在し、現在でも地域の歴史を伝えています。清洲城の歴史は、今も深い関わりを持って私たちの記憶に残り続けています。

もう一度検索