清雲院 (徳川家康側室)

清雲院（せいうんいん）

清雲院は、徳川家康の側室として知られる女性です。彼女の名は奈津または夏で、伊勢国北畠家の旧臣、長谷川藤直の娘として生まれました。生まれ故郷は伊勢国多気御所（霧山城）で、彼女の人生は家康と共に歩むことになります。

生い立ち

清雲院は、兄の藤広が家康に仕官していた関係で、慶長2年（1597年）に17歳で二条城の奥勤めを始めました。この頃、家康は56歳で、彼女は彼の側室となります。この出会いから、清雲院は家康から特別な寵愛を受けることになります。彼女は、慶長16年（1611年）に豊臣秀頼との会見の際には家康の「御上﨟衆」として名が挙げられ、名誉ある存在となっていました。

武功と役割

清雲院は、慶長19年（1614年）の大坂冬の陣では本陣に供奉し、夏の陣では伏見城に留守居の役割を担いました。これにより、彼女は家康の側にいて大きな役割を果たしていたことが分かります。家康が亡くなった元和2年（1616年）には、彼女は剃髪し、清雲院と名乗るようになります。

晩年と没落

家康の死後、清雲院は子を持たず、駿府から江戸城三の丸脇に屋敷を持つことになります。その後、小石川門内に屋敷を移し、武蔵国中野に500石を与えられて生活します。また、さまざまな財産や年貢を受け取ることになりました。寛永9年（1632年）には、徳川秀忠の遺産分けで黄金100枚を賜るなど、徳川家との関係は続きました。

清雲院は、それまでの生活を基に甥の左馬助広清を養子として迎え入れ、明暦元年（1655年）には彼の孫を養子として新たな家を創立します。清雲院は、彼女の生涯の終焉を迎える万治3年（1660年）9月20日に、80歳の生涯を閉じます。その際、彼女は小石川・伝通院に葬られ、戒名は清雲院心誉光質大禅定尼とされています。家康の唯一の側室として、晩年は大切に影響力を持ち続けました。

寺院と文化

彼女の名を冠した寺院である清雲院は、伊勢国度会郡山田（現・三重県伊勢市山田）に創建され、「お夏寺」とも呼ばれています。この寺院は彼女の生涯を称える重要な場所となっています。

文化的な影響

清雲院は、数多くのテレビドラマに登場しています。特に1981年のTBSドラマ『関ヶ原』や、2000年のNHK大河ドラマ『葵 徳川三代』、さらには2014年の『影武者 徳川家康』に彼女の役割が描かれています。これらの作品を通じて、清雲院は歴史的な女性の一人としての非凡さを再確認できます。

清雲院は、家康にとっても重要な存在であり、その生涯や役割は日本の歴史においても評価されています。また、彼女が関わった歴史的出来事や文化的つながりも、今なお多くの人々に関心を寄せられています。

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