済南府

済南府（さいなんふ）は、中国にかつて存在した府で、現在の山東省済南市を中心とする地域に位置していました。その歴史は、宋代に始まり、民国初期に廃止されるまで、約800年にわたる変遷をたどりました。

北宋時代

1116年（政和6年）、北宋により斉州が済南府に昇格しました。この時、済南府は京東東路に属し、歴城、禹城、章丘、長清、臨邑の5県を管轄しました。この昇格は、地域における政治的、経済的な重要性の高まりを反映していると考えられます。

金時代

金の時代になると、済南府は山東東路に属し、管轄範囲が広がりました。歴城、臨邑、斉河、章丘、禹城、長清、済陽の7県に加え、盤水、中宮など29の鎮を管轄するようになりました。この時期には、地域の行政区分の再編が進み、より広範な地域を統治する体制が整えられたことがわかります。

モンゴル帝国・元時代

モンゴル帝国時代には、済南府は済南路総管府と改められました。元朝では、済南路は中書省に属し、録事司の管轄下に置かれ、直属の歴城、章丘、鄒平、済陽の4県と、棣州に属する厭次、商河、陽信、無棣の4県、さらに浜州に属する渤海、利津、霑化の3県を管轄しました。この時期には、モンゴル帝国の支配下で、行政組織が大きく改編されたことが特徴です。

明時代

1367年、朱元璋によって済南路は再び済南府の称に戻されました。明朝では、済南府は山東省に属し、直属の歴城、章丘、鄒平、淄川、長山、新城、斉河、斉東、済陽、禹城、臨邑、長清、肥城、青城、陵の15県に加え、泰安州に属する新泰、萊蕪の2県、徳州に属する徳平、平原の2県、武定州に属する陽信、海豊、楽陵、商河の4県、さらに浜州に属する利津、霑化、蒲台の3県を管轄しました。明朝における済南府は、より広範な地域を包括する広域行政単位としての役割を果たしました。

清時代

清朝時代になると、済南府は山東省に属し、歴城、章丘、鄒平、淄川、長山、新城、斉河、斉東、済陽、禹城、臨邑、長清、陵、徳平、平原の15県と徳州の1州を管轄しました。この時期には、管轄範囲が整理され、より効率的な行政運営を目指したことが窺えます。

中華民国時代

1913年、中華民国により済南府は廃止されました。これにより、済南府は歴史的な役割を終え、新たな行政区分の下で再編されることとなりました。

済南府の歴史は、中国の地方行政制度の変遷を理解する上で重要な事例であり、各王朝の支配体制や行政政策の変化が、地方の行政区分にどのように影響を与えたかを示すものです。また、済南府の管轄範囲の変遷は、その地域における政治的、経済的な重要性の変化を反映していると言えるでしょう。

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