渋川正陽

渋川正陽（しぶかわまさてる）は、江戸時代後期の江戸幕府天文方として知られる人物です。明和8年（1771年）に生まれ、文政4年6月14日（1821年7月13日）に50歳で亡くなりました。幼名は勝次郎、後に富五郎と名乗り、出家後は一哉と号しました。


生い立ちと養子縁組

渋川正陽は、川口春芳の子として生まれました。17歳になった天明7年（1787年）に、天文方の渋川正清の養子となります。この養子縁組が、彼の人生を大きく左右することになりました。


天文方としての活躍

寛政4年（1792年）、正陽は将軍徳川家斉に拝謁を許されます。その後、寛政11年（1799年）には、養父の跡を継いで天文方となりました。天文方として、彼は天体観測や暦の作成など、幕府の天文学に関する重要な職務を担いました。


家族と養子

正陽には実子として4人の男子と3人の女子がいましたが、残念ながら全て早世しています。そのため、文化5年（1808年）には、同じ天文方の高橋至時の次男である景佑を養子に迎えました。この養子縁組は、渋川家の後継者問題を解決する上で重要な意味を持ちました。


隠居と出家

正陽は、文化6年（1809年）に39歳で天文方を隠居しました。その2年後には出家し、一哉と号しました。隠居後の彼の生活については詳しい記録は残っていませんが、出家したことからも、宗教的な生活を送ったと考えられています。


系譜

父: 川口春芳
母: 不詳
養父: 渋川正清
妻: 不詳
子女: 男子4人、女子3人（全て早世）
養子: 渋川景佑（高橋至時の次男）


参考文献

市古貞次 他編『国書人名辞典 2』（岩波書店、1995年） ISBN 978-4-000-80082-2
中山茂 編『天文学人名辞典』（『現代天文学講座』別巻）（恒星社厚生閣、1983年） ISBN 978-4-769-90073-3


渋川正陽は、江戸時代後期という激動の時代に、幕府の天文方として重要な役割を果たしました。彼の生涯は、養子縁組や出家など、様々な出来事に彩られており、当時の社会や文化を理解する上で貴重な資料となっています。

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