渋川義基 (蕨渋川氏)

渋川義基は、室町時代後期に活躍した武将で、扇谷上杉家に仕え、蕨城を拠点としていました。父は渋川義堯、弟には板倉頼重がいます。

1526年、父・義堯が北条氏綱の侵攻によって討たれると、家督を継承しました。1530年、主君である上杉朝興は、北条氏綱に奪われた江戸城を奪還するため、甲斐の武田信虎と同盟を結びます。これが小沢原の戦いのきっかけとなりました。その前哨戦において、義基は江戸城を攻めますが、落城には至りませんでした。その後、本戦で朝興は北条氏綱の子・北条氏康の奇襲を受け大敗し、江戸城奪還の夢は遠のくことになります。

1532年、北条家が安房国の里見義豊と戦っている隙をつき、義基は手薄になった北条方の葛西城を、扇谷上杉家の家臣である太田資頼や難波田憲重らと共に攻略しました。

1535年、北条氏綱は武田信虎の領土である甲斐へ侵攻し、山中の戦いで信虎の弟・勝沼信友を討ち取るという大勝利を収めます。これを聞いた朝興は、手薄になった北条領への侵攻を計画しますが、事前に北条軍に察知され、侵攻の機会を失いました。

1537年、上杉朝興が病死し、嫡男の上杉朝定が家督を継承します。しかし、1538年、義基は扇谷上杉家を見限り、北条氏に寝返り、蕨城にいた扇谷家の家臣・太田資正を追放し、蕨城を安堵されました。

1545年の河越城の戦いでは、北条方として富永直勝と共に難波田憲重の難波田城を攻略する功績を挙げています。

このように、渋川義基は激動の時代の中で、主家である扇谷上杉家への忠義と、自らの領地を守るための決断の間で揺れ動きながら、その生涯を終えた武将と言えるでしょう。

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