北条氏綱

北条氏綱：後北条氏二代当主、関東に覇を唱えた戦国武将

北条氏綱（ほうじょう うじつな）は、戦国時代の武将、後北条氏の第2代当主です。父である北条早雲（伊勢宗瑞）の跡を継ぎ、伊豆・相模を拠点に勢力を拡大、武蔵の一部や下総、駿河にまで領土を広げました。内政面でも優れた手腕を発揮し、後北条氏の基礎を築き上げました。

生涯

家督相続まで

長享元年（1487年）、伊勢宗瑞（北条早雲）の嫡男として生まれます。幼名は伊豆千代丸。元服後は父と同じ新九郎を称しました。父・宗瑞は氏綱が生まれた年に今川氏親を今川家の当主に据える功績を挙げ、興国寺城主となっています。

伊勢氏の後継者として

氏綱は永正9年（1512年）には父・宗瑞の後継者として活動していたことが確認できます。宗瑞が奪取した小田原城に在番していたと推定されています。相模平定戦では宗瑞と共に三浦氏を滅ぼし、永正12年（1515年）には嫡男・氏康が誕生しています。永正15年（1518年）、宗瑞の隠居により家督を継ぎ、後北条氏の当主となりました。

北条氏への改称と関東での勢力拡大

氏綱は家督相続後、印判状を用いることで領民への搾取を抑制し、支配体制を強化しました。居城を小田原城に移し、寺社造営事業を積極的に行うなど、領国経営に力を注ぎました。

大永3年（1523年）頃、氏綱は名字を伊勢から北条へと改めました。これは、父・宗瑞の代からあった、関東にゆかりの深い執権北条氏の後継者たらんとする発想を実現したものです。近年の研究では、正室の養珠院殿が執権北条氏の末裔である横井氏の出身であった可能性も指摘されています。北条氏への改称後、氏綱は左京大夫に任じられ、家格の面でも周辺大名と同等となりました。

武蔵侵攻と関東の覇権争い

氏綱は相模平定後、武蔵へと侵攻し、小机城を攻略して南武蔵を制圧しました。扇谷上杉家との間で高輪原の戦い、江戸城の戦いなどを繰り広げ、江戸城を奪取しました。その後も東武蔵での戦い、北条包囲網との戦いなどを経て、関東での勢力を拡大していきます。

第一次国府台合戦と小弓公方の滅亡

氏綱は古河公方足利晴氏と同盟を結び、小弓公方足利義明と対立。天文7年（1538年）の第一次国府台合戦で義明を討ち破り、小弓公方を滅ぼしました。これにより、武蔵南部から下総、上総にかけて勢力を拡大し、南関東一帯の覇権を確立しました。

領国経営と晩年

氏綱は支城体制を確立し、伝馬制度を復活させるなど、領国経営にも力を注ぎました。鎌倉鶴岡八幡宮の造営事業を主導し、東国武家政権の後継者としての地位を確立しようとしました。

第一次国府台合戦の後、氏綱は隠居し、嫡男の氏康に家督を譲りました。天文10年（1541年）に病に倒れ、7月19日に死去。享年55。

人物・逸話

「勝って兜の緒を締めよ」の遺訓: 氏綱は、嫡男・氏康に宛てた訓戒状の中で、「勝って兜の緒を締めよ」という言葉を残しました。これは、勝利に驕ることなく、常に警戒を怠らないようにという意味で、現代でも広く知られています。
寺社造営: 氏綱は、寺社造営事業を積極的に行いました。これは、領国の安定と民心の掌握を目的としたものであり、後北条氏の支配を正当化する意味合いもありました。

墓所

神奈川県箱根町の早雲寺に北条五代の墓所があります。

氏綱の死後

氏綱の死後、後北条氏は氏康によって更なる発展を遂げました。氏綱が築いた基盤は、後北条氏が関東の覇者となる上で重要な役割を果たしました。

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