渋沢信雄

渋沢信雄

渋沢信雄（しぶさわ のぶお、正字体：澁澤 信雄、1898年6月21日 - 1967年2月12日）は、日本の実業家であり、祖父に渋沢栄一、父に渋沢篤二を持つ名家の出身です。福本書院の共同経営者として書籍輸入業に携わる傍ら、様々な企業の要職を歴任しました。

生涯

幼少期・青年期

1898年、東京府東京市深川区（現在の東京都江東区）で、子爵・渋沢栄一の嫡男である渋沢篤二と、母・敦子の次男として生まれました。母方の祖父は、公卿出身の橋本実梁です。兄に渋沢敬三、弟に渋沢智雄がいます。

1913年に父・篤二が廃嫡されたため、母や兄弟と共に一時的に渋沢家を離れましたが、後に兄の敬三が家督を継いだことで渋沢家に戻りました。実業家としての経験を積む中で、1917年には日米有志協議会の接待事務にも携わりました。京都帝国大学文学部哲学科を卒業しており、学問にも造詣が深かったことが伺えます。

実業家として

1931年、音楽家齋藤秀雄の妹である敦子夫人と結婚し、分家しました。弟の智雄と共に、兄・敬三を支える立場となりました。結婚の翌年には長男・裕、1936年には次男・彰が誕生しています。

信雄は、1926年に福本初太郎と共同で独逸書輸入を行う「福本書院」を設立。書籍輸入業で成功を収めました。また、祖父・栄一が設立に関わった秩父鉄道、東京製綱、秩父セメント、玉村式索道などの取締役や、渋澤倉庫監査役、中外商工社長など、多くの企業の要職を歴任しました。趣味はゴルフや乗馬と多岐にわたり、その活動的な一面が伺えます。晩年には、目黒区上大崎に建てた洋館が、後に志賀高原に移築され、レストランとして利用されています。

晩年・死去

1967年2月12日、満68歳でその生涯を閉じました。兄弟の中では最も長命であり、渋沢篤二の子供の中では最後の存命者でした。菩提寺は寛永寺であり、墓所は谷中霊園にあります。

年譜

1898年：渋沢栄一の次男として誕生。
1913年：父・篤二が廃嫡となり、一時的に渋沢家を離れる。
1915年：兄・敬三が家督を継いだことで渋沢家に戻る。
1926年：福本初太郎と「福本書院」を設立。
1931年：齋藤敦子と結婚し分家。祖父・栄一が死去。
1932年：父・篤二が死去。長男・裕が誕生。
1936年：次男・彰が誕生。
1947年：弟・智雄が死去。
1963年：兄・敬三が死去。
1967年：死去。

家族・親族

渋沢家

妻：敦子（齋藤秀雄の妹）
長男：裕（元ソニー取締役）
次男：彰
孫:肇子

親戚

渋沢敬三（兄、子爵、実業家）
渋沢智雄（弟、実業家）
渋沢雅英（甥、現渋沢家当主）
穂積重遠（法学者）
阪谷希一（政治家）
穂積真六郎
齋藤秀雄（義兄、音楽家）

登場作品

青天を衝け（NHK大河ドラマ、2021年。演：岡部ひろき）

脚注

参考文献
人事興信所編『人事興信録 第11版 上』人事興信所、1937 - 1939年。
人事興信所編『人事興信録 第13版 上』人事興信所、1941年。
帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第14版 東京篇』帝国秘密探偵社、1942年。
人事興信所編『人事興信録 第15版 上』人事興信所、1948年。

関連項目

渋沢財閥
渋沢栄一
渋沢敬三
渋沢雅英
渋沢裕
渋沢彰
阪谷俊作
齋藤秀雄
旧渋沢家住宅

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